健康ちょっといい話15

がんと呼ぶ名の死に至る病(下)

風浴法の実際

 前号(中)(10月25日付)には、渡辺正博士〈東京都中野区東中野3−2−16・電話03−3362−9171〜3〉のがん治療法の一つに風浴法(裸療法)の実施を述べたが、その詳細を知りたいという読者がおられる由。早速、簡潔にご紹介する。新方式の医学ではがんの発生が一酸化炭素の悪戯と見るから、酸素を豊富に補給して尿酸等の発散を促し、血液浄化の効果的な手法に風浴を奨める。

 皮膚は五体の単なる包装紙とは異なり、呼吸・吸収・排泄・感覚・保護の諸作用を営み、肺や肝臓の働きもしていることは、生理学の教えるところであって、金粉ヌードではすぐに金粉を落とさなければ生命が危険となり、全身にコールタールやペンキを塗れば大の男も数十分で悶死するし、皮膚に三分の一以上火傷すれば死ぬことからみても、皮膚がいかに大切かが判るだろう。但し、猿知恵を働かせて不自然な高圧酸素室に入れても結果はペケである。

 赤子の成長をよく観察するとミルクだけで育つのではなく、空気で成長するものでもあり、「子供は風の子」といわれるのも戸外の風が吹くところで遊ばせると丈夫に育つことを言ったものである。ローブリー博士は「皮膚は第二の心臓である」(皮膚近くに分布の静脈管が帰路循環を司る意)とも言い、霊妙な皮膚は「第二の肺」とも言えるのである。

 風浴法は全身を空気にさらし、皮膚機能をフルに発揮させる秘法で、秒針が適当な所に行った時に(私の体験では秒針が十秒の所からスタートするのが爾後の計算がやり易い)、毛布(夏ならタオルケット程度)をパッと脱ぎ、全裸となる。20秒経ったら1分着衣する。1分経過後、30秒全裸となり1分着る。こうして正確に10秒ずつ脱衣の時間を延ばして60秒になったら1分半着衣し、70秒裸体後に1分半着衣、80秒裸体後に1分半着衣し、90秒全裸後は2分着衣、10秒ずつ延ばして120秒全裸後に着衣(パジャマを着る)して40分休み、がん等の重症者は、これを正確に繰り返して、一日6〜11回に及ぶ。

 弟がガス中毒で11日間、仮死状態の時にもこの風浴法を未明の4時から始め、1日15回に及んだが、10回を過ぎる頃からよくなるのが目に見えて判った。どんなによい空気でも30分吸い続けることはできない。吸って吐いて、この繰り返しで酸素が体内に入るように、全裸だけで30分いても効果は現れず、面倒だが右の秒単位の操作で極限の著効を示すのである。

 風浴は絶大なる効果を示す暝眩(めんけん)(健康回復に生体が払う努力の一表現)が強く出る人もある。直腸がん患者が風浴継続後、がん病巣が崩壊して生体を離れ、大量の下血後に全治した例もある。また、効果は指数関数的に風浴開始後、25日まで効果の見えなかったのが、26日目から俄然効果を現すことも多い。時には風浴開始後に発熱・下痢・腫物を見ることがあるが、どんな症状が出ても病体が健康に復元する症状ゆえ喜ぶべき現象なるも、あまりに症状の激しい時には風浴を一時中止して、また始めるのも一法だが、何万例を扱っている経験豊な渡辺正、甲田光雄、山崎佳三郎ほか新方式の医学を奉ずる学者に最も効果的手法を相談するとよい。

 ここで、胃がんの二治験例をご紹介しよう。京都にお住まいの山村保三氏(83)の場合である。胃の膨満感が著しく上腹部に腫瘤を触れるほど進行した胃がん。肝腎の風浴は高齢のため1日11回は無理で八〜九回励行。食事は生野菜5種以上をすりつぶしたものを丼1杯、昼夜1杯のほか、玄米粉の重湯を茶碗一杯、ふ、チリメンジャコ、白身の魚を少量取り、毎日温冷浴を実行。一年半忠実に継続して全治。その間、京都外国語大学講師として出勤、のち独学で弁理士試験にも合格した。以上、樫尾太郎博士(東大出身)管理のもと自宅で実施した例である。

 次に沼田市の松井てい女史(58)の治験例。前橋の日赤で精密検査の結果、胃がんの初期。渡辺医院に入院して風浴を1日10回行い、温冷浴や毛管運動も1か月半実施。この結果、松井女史は便秘症が根治、顔色も見違えるほどよくなり、胃がんも根治した。彼女は便秘症で厚着の傾向があった。それが他の要素と結合してがんにまで発展したものと考えられる。

“がん”の話はこれでおわり)

(評論家)

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