安田講堂が文化財に

70年の歴史を刻む

登録制度第1号に入る

 文化財保護審議会(会長・西川杏太郎前国立文化財団研究所長)は十五日、新たに制度化された「文化財登録制度」の適用第一号として、本学の大講堂(安田講堂)など百九十件を小杉文相に答申した。この登録制度は、消失が著しい近代の建築物を保護するのが狙いで、今年十月の文化財保護法改正で導入された。

 「大学紛争のシンボル」「東大の顔」―。一九二五年七月に建設されて以来、激動の歴史を七十年以上も刻んできた本学の大講堂(安田講堂)が、文化財建造物として登録されることになった。

 旧安田財閥の創設者故安田善次郎氏の巨額の寄付で計画。工学部の故内田祥三教授が設計した。鉄筋コンクリート四階(塔屋部分九階)建て。屋内の壁はすべて大理石という豪華なもので、卒業式や音楽会などで頻繁に使用された。

 しかし、学園紛争最盛期の六九年一月には学生が占拠、立てこもる東大全共闘や各セクトの学生の“要さい”と化した。警視庁機動隊との「決戦場」ともなり、内壁はバリケード作りの際に破壊され、階段の石材ははがされて投石に使われた。また火炎瓶が燃え上がるなどして内部もすすで真っ黒となり、立ち入りも危険なため大学当局は長年、封鎖状態にしていた。しかし、八八年から寄付など計九億円を投じて改修され、再び「東大のシンボル」として復活。九一年には有馬朗人前総長が二十四年ぶりに大講堂で卒業式を行った。

 また、生産技術研究所の藤森照信教授は、文化財としての価値に注目している。大正モダニズムの代表作で、特に内部のつくりがユニーク。宇宙船のようなシャンデリアや白黒の市松模様の床など面白いデザインがたくさんある、という。

 今回の文化財登録に、大学側は、国民の宝であり、非常に喜ばしい。これからも大切に使用したい、と話しているという。


淡青手帳

 ある男女のカップル。不慮の事故で、女性の方が突然死んでしまう。
天使が出てきて、天国へ連れていこうとするが、地上に残してきた彼氏の事が気になりこの世に留まる。
しかし、この世にいても、その彼氏に触れることはできない。
息を吹きかけることしかできない。
結局、先に天国に行っていた彼女の祖母から話を受け、「天国で彼氏が来るのを待つしかない。
そして、彼が天国に来たら『長い人生、ご苦労様』と言ってあげよう」、という話になり、天国に行くことを決意する

これは駒場祭で行われたある劇の話。
人は死んだらどうなるのか。
天使はいるのか。天国はあるのだろうか。
これは長い間の人々のテーマでもあった

この劇の話では、天国に行ったら自分が一番輝いていたころに戻れるらしい。
彼女の祖母は十九歳にしてもらったという。
また、末期ガンの患者の、「天国はどこにあるのですか」の問いに、
「すぐそこですよ。三`ロくらい行ったとこ」と、天使は答える。

多少、おもしろおかしく描いていたが、もし、私たちが死後の世界の存在を意識し、
またそこから新しい人生が始まるのだとしたら、
果たして生き方が変わってくるのでは、と考えさせられた

若い時に死を意識することはほとんどない。
また、考えてもすぐに答えが出る問題でもない。
だから、この世が全てだと考えがちになる

ただ、死後があるかどうかにかかわらず、この世の目に見える物が全てではないことがわかったらどうなるだろう。
人は、お金が全てではないことに気づき、汚職事件などは起こらないのでは、とふと考えたりした。


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