今、防災について(16)

関東大震災時に帝大生が活躍

 今年は大正関東大地震から75年目、福井地震から50年目、宮城県沖地震から20年目、北海道南西沖地震から5年目と節目の年にあたっている。
 中でも東京大学が地震被災地の中にあった体験は75年前の関東大震災である。その時の様子を「帝国大学新聞」号外から振り返ってみよう。号外は地震発生の1か月後の大正12年9月30日付けで発行された。編輯兼発行者鳩山秀夫・印刷所帝大赤門前文信社・発行所帝大構内帝国大学新聞会となっている。
 冒頭には「真に大学改造の秋」の一文が掲げられている。「不幸にも大学の三分の二が焼失、特に学界の宝庫であった図書館の焼失はかえすがえすも残念なことであった。しかしながら学内にもここ数年種々の改造論が唱えられてきた。我々はこの災害を転機として、過去の既存の大学を基礎の上に唱えられた改造ではなくて、過去の大学が持っていたもの大部分が失われたことを機会に、あらゆる伝統から解放された真に理想の大学生活を目標とする改造に取り組まなければならない。
 今回の災害後わが帝大学生の活動は真に目覚ましいものがある。大学構内や上野の2000人の避難民の救護に、或いは末広教授の提唱による「東京罹災者情報局」の激務に日々忙殺されている学生は現在約百人もいる。しかし我々は自分自身の問題についても考えなければならない時が来た。それは大学都市の計画、仮寄宿舎問題等問題は多岐にわたり、大学自治の実を発揮すべく、一層の奮闘と努力を続けよう」と記されている。
 社告として帝国大学新聞会社屋も焼失、大学新聞の復活は在京有志により臨時新聞編集員6名によりガリバン刷りにて発刊されたことが表記されている。
 在京学生の活動として大正12年9月1日地震発生後間もなく上がった火の手に、本郷の下宿に帰京していた学生は母校の急を救はんとして、大学に駆け付け猛火に包まれた建物の中から貴重な書籍を持ち出すことに努めた学生も多かった。
 また構内に避難した避難民は約3000名、2日に南洋から帰国した学生40名と避難民の代表が協力して「帝大救護団」が組織され、本部を巡視詰所におき徹宵構内の警戒と避難民の衣食住の世話に当たった。
 8日に末広教授が本部にこられてからは、動きは極めて組織的になった。構内避難民救護の手を更に分けて「東京罹災者情報局」の仕事を開始、上野公園にいる被災民8000名の整理をすることから始めた。情報局は地方から被災民の安否を求めて上京する人達の混乱を防ぐために、地方からの問合せに答えるために編成された。罹災区域の実地調査・死傷者の調査・避難民調査を学生の手によって開始、問合せ2万件に対し回答できたものが2割に達している。一方上野の避難民を15区に分割自治制を導入し食糧・救援物資の配分を公平にしたのも当時の学生によって行なわれたのである。そのために各区に区長・若干の委員を設け、各区に自治制を布きそれぞれ衛生防災と食糧分配の仕事に従事させた。各区の代表は区役所より自区の人数に要する米を運搬して帰りこれを区民に分配した。副食物その他も同様である。学生は区役所・警察署との直接交渉にあたり、避難者の便宜を計った。この仕事は迅速・巧妙で、先ず驚いたのが警視庁のお役人たちであった。学生の手が入ってから上野の秩序は回復され、食物不足の怨嗟の声が断たれた。そして避難民自身からなる自治体が成立して、2-3日前に学生は全部手を引いた。
 このような学生の活動は被害の最も大きかった本所・深川等には、託児所等の開設にも及び第二次大戦後もセッツルメント活動して引き継がれてきたのである。
 また関東大震災では東京市は百数十か所より出火し、1千万坪が焼失(神戸市兵庫県南部地震火災焼失面積の40倍)し、内100か所に火災旋風が発生し多くの人の命を奪ったのであるが、この火災旋風の調査には帝国大学理学部の学生が当たり貴重な報告が「震災予防調査会報告」に残されている。
 <都市防災研究会 代表補佐 大間知倫(おおまちひとし)S33年経卒


赤門ひろば

自分でよく考えないと

 「こころの教育」をいつも読ませてもらっています。教育学部に進学する予定なので、とても参考になります。テレビや雑誌等で活躍している宮台真司先生や、山本直英先生があまり良くない思想をもっていると知って、驚きました。自分でももっとよく考えて、流されないようにしていきたいと思います。これからも楽しみにしています。

 (文三 2年 Y・Kさん)


「こころの教育」に大変共感

 私は教育学部OB(平成3年卒)だが、「こころの教育」を読んで、大変共感している。私の頃は性教育もまだほとんど話題に上っていなかった時代で、左翼的、唯物的な先生方も多かった。今はどうなのか分からないが、教育学部の教授や学生にもぜひ読んでもらいたい内容だ。

(平成3年育卒 Y・Tさん)


タブロイドの方が好み

 私としては、タブロイド判の方がコンパクトにまとまっている感じがしました。これまでのブランケット判、大きな紙面を持て余している感じで、「出来事を知らせる」という告知版(それも新聞の大切な使命でしょうが)の感じが強かったのが、タブロイド判の今回1回分で見る限り、「読者が興味を持ちそうなことを知らせる」という、より創作的な感じが強くなっていると思います。私の個人的な好みは後者です。

(東京 M・Iさん)


イベント情報

フランスコミックの世界展

 日本でも話題になった映画「フィフス・エレメント」の美術デザインを担当したメジエールをはじめ、メビウス、エンキ・ビラル、ドゥリエ、ルスタールら人気作家たちの原画など約80点を展示。サイン会も開催する。
▽会期 9月8日(火)〜13日(日)午前10時〜午後7時(最終日は午後6時閉場、入場は閉場30分前まで)
▽会場 日本橋三越本店7階催物会場
▽入場料 300円(中学生以下無料)
▽主催 産経新聞社

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希望者20名に招待券プレゼント

 今回紹介した「フランスコミックの世界展」の無料招待券を20名様にプレゼントします。ご希望の方は官製はがきに住所・氏名・職業(学部、学年)・招待券の希望枚数などを明記して、〒153-0041東京都目黒区駒場2-15-8-103 東大新報「フランスコミックの世界展」係までお寄せください。


赤門クロスNo.83

 今回もオーソドックスな問題です。クロスができ上がったら、二重ワクのなかの文字を適当に並べると、話題になっている言葉が出てきます。それが今回の答えです。がんばって解いてみてください。(出題S・S)

タテのカギ

(1)新しく経済企画庁長官になった本学のOB。ベストセラー作家でもあります。本名ではありません
(2)――草、――越し、――続き
(3)ハエに似た昆虫で、刺されるとかゆくなります
(5)北朝鮮が最近、発射したミサイル。日本も危ないところでした
(7)玉にこれが付くと宝になります
(10)この病気にかかると高熱が出ます。時には死に至ることもあります
(14)シャーロック・ホームズは――の人物です
(16)財――、軍――、学――
(17)独唱。独奏

ヨコのカギ

(2)――価、――式、――券
(4)――先、――袖、――調べ
(6)最近ダイオキシンなどの――ホルモンが問題になっています。正式には外因性内分泌撹乱物質といいます。
(8)――リーダー、――ローン、プリペイド――
(9)――桃、――梨、――芋
(11)――フィクション、――ポリシー、――キャリア
(12)――くちびる、――スパゲティー、――おにぎり
(13)最近すぐ「――つく」という言葉を口にする子どもが増えています
(15)――口、――身、――潮
(16)若者の間で使う強調語。――強い
(18)日本で最近流行していて、先日広辞苑にも記載されることが決まりました
(19)黒と白。――の争い

応募方法

 誰でも応募できます。答えを「東大新報 赤門クロスワード係」に送って下さい。住所・氏名・電話番号・大学(職業)・学部・学年(年齢)、紙面に対するご意見、ご感想をお書き添えください。

プレゼント

 正解者の中から抽選で10名の皆さんに「東大グッズ」をプレゼントします。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。締め切りは9月21日(月)です。どんどんご応募下さい。


赤門ひろば投稿募集
 「赤門ひろば」はひろく学生、教官、OBの方々からの意見を交換する場です。
政治、経済、大学問題など様々な分野についての自由なご意見をお待ちしています。

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あて先は〒153-0041 東京都目黒区駒場2-15-8-103 東大新報「赤門ひろば」係
(FAX=03-3468-2572、E-mail=t-shinpo@super.win.ne.jp)まで