惑星科学のすすめ

太陽系生成論に対する制約は一層厳しく

太陽系生成論の歴史

2.3  太陽系生成論の問題点と物質科学からの視点


木星型惑星の成長に関わる謎

 ではそのような簡単なモデルが前節で述べたような現在の太陽系の姿をいかに説明できるかを調べてみよう。微惑星の合体成長の速さは、各惑星軌道での公転運動の速さに比例するので、水星・金星・地球・火星といった地球型惑星系では比較的早く、木星・土星などの外惑星では遅くなる。ところが、木星のようなガス型の惑星は太陽系星雲に存在したガスを取り込んでおり、成長に時間がかかりすぎるとガスが散逸してしまってそれは不可能になる。ということは、地球型惑星軌道ではガスの散逸後に惑星が(ガスを捕まえるに足る重力を持つまで)成長を遂げ、木星型惑星軌道ではガスの散逸前にすでに惑星は大きく成長していなければならない。ガスの散逸が太陽に近い地球型惑星軌道で早く起こったと仮定するのはもっともだが、それでも木星型惑星の成長は遅すぎて話にならない。上記のように微惑星が等しい大きさで足並みを揃えて成長するのでなく、いくつかが突出して大きくなって他をことごとく吸収していくという暴走成長モデルに基づけば成長に要する時間は短縮されるが、それでも木星型惑星の成長が地球型惑星よりも遅いことには変わらない。

軌道上の材料物質が成長促進?

 一つの回答としては、木星軌道には意外と多くの材料物質が存在していて、ガスを捕獲できるだけの大きさに成長するのが意外と早かったという可能性がある。例えば、木星軌道ぐらいまで遠くなれば、たとえ太陽活動が活発であったとしても、水が氷として存在できる距離であると思われる。また、その他の低温物質(アンモニアの氷や含水鉱物)もより豊富に存在しうるはずである。一般にそのような物質は強度が小さいので、衝突の際にお互いに合体しやすく、それゆえに惑星成長が早く進んだという可能性である。

熱せられた物質が飛ばされた?

 標準的な太陽系生成論のもう一つの問題は、隕石からの証拠との兼ね合いにある。隕石の90%以上を占めるコンドライトは、その中にミリメートルのオーダーの大きさのコンドリュールという球状の物質を多く含んでいる。コンドリュールは高温で瞬間的に融けてできたものであり、その周りを埋めるマトリックスとは熱的歴史が違って、両者は機械的に混合合体されたように見える。特に炭素質コンドライトの一部には高温では壊れてしまう物質が多く含まれている。太陽系星雲が静かに固まっていったのではそのようなコンドライトを大量に作る事は不可能で、例えば、他の太陽系で観測されたような双極分子流のように、物質が太陽近くにまで落ちて熱せられた後に、低温の遠くまでまた飛ばされるような仕組みを考えねばならない。
 また、そのような機構は、塵が静電力によってミリメートルオーダーまで成長する段階と、隕石のようなメートルサイズのものが微惑星となる過程との中間的の過程を説明しうる。センチメートル程度の物体は、静電力も重力も弱く、コンドライトのように柔らかいマトリックスがクッションのようになって合体するのが理想的に思われる。コンドリュールが小惑星帯のみでなく、より遠くまで飛ばされたとすると、前述の木星軌道付近での惑星成長速度を早くするのにも貢献しうる。

今後は化学的なアプローチも

 以上のような問題点は数え切れないほどあるだろうが、重要な点は、最近の物質科学的な研究によって太陽系生成論に対する制約が一層厳しくなってきた事である。コンピューターの進歩によってより複雑なシミュレーションが年々できるようになってくるので、いずれは微惑星のパラメーターとして力学特性のみならず化学・鉱物特性も入れてシミュレーションをできる時が来るであろう。そうなれば当然、衝突によって物質が揮発したりするわけであるから、塵とガスの化学的相互作用も考慮する事になろう。ずっと以前に竹内均先生などがおっしゃっていた化学的太陽系生成論である。 (つづく)

 (昭和63年大学院理学系研究科博士課程修了)


毒入り飲料対策に朗報!

中松博士が発明公表

Dr.中松セーフパック

 最近、毒物混入事件が相次いでいる。コンビニで買った飲料もいちいち缶底を自分で確認しなければ、毒物混入の危険があるのだ。今、一番国民が心配している問題であろう。
 そこで、コンビニ等では缶を上下逆にして陳列するところも出てきた。しかし、この陳列法はラベルの模様が逆転し、客には見づらい。
 有力な解決法がなかなか見つからず、関係者も困っていたところに、本学OBの発明王中松義郎博士(70)が毒物混入防止発明を公表してくれた。
 名付けて、「ドクター中松セーフパック(DNSP)」。まず、ラベルの模様が上下逆さまになっている(写真)。だから、陳列時に缶底がすぐ目に入る。さらに、製造充填時に、液体窒素が最後に少し注入されている。そのことによって、もし犯人が穴をあけた場合、液体窒素が飛び出してくる。そして、缶が凹む。だから、犯行が行われたら直ちにわかるようになっているのだ。

ロイヤリティーも取らず

 この発明は、コストをほとんどアップすることなく、デザインや缶型も変えることなく、犯罪を防ぐことができるという画期的発明だ。
 この発明は缶だけでなく、ペットボトル、紙パックにも適用できるという。
 本来ならば、この発明をメーカーや販売会社が使用するためにはロイヤリティーが必要である。だが、世の中を救いたいという中松博士の愛の心ゆえに、ドクター中松創研(03・3585・8585)に本発明使用申し込み登録を済ませた会社には、無償で使用できるようにしているという。
 この発明によって、一日も早く社会不安が取り除かれることを願うものだ。