淡青手帳

第828号(2001年4月15日号)

 新学期に入りガイダンスを受けながら、ふと高校の先生の言葉を思い出していた。「高校までの『勉強』は、強いてやらされるものかもしれない。でも大学に入ってやるのは、自分から得ようとする『学習』なんだよ」と。

 先生は受験勉強に追われる僕たちを、大学に行けばもっと自由で活気にあふれているからと、励ましたかったのだろう。でもそんな単調さの中でこそ、僕はいろんな喜怒哀楽を感じながら、忘れがたい高校生活を送ることができた。

 ところが今、大学生活を振り返ってみてどうか。なるほど履修選択の幅が広がったとはいえ、ほとんど高校時代と変わらない講義形式。本気で日本の将来について考えている人も少ない。何しに東大まで来たんだろう、と自分が分からなくなりかけていた。

 どこに問題が、そう自分に問うてみて初めて気がついた。「原因は自分にあったんだ」と。確かに東大という組織には、何かを期待したくなる可能性がある。しかし大学に質を求める前に、大切なのは自分自身の姿勢だった。

 いつの日も、「なぜこの人はこんなに○○なんだ」と驚かされるたびに、自分が一回り大きくなった。それなら逆に、人に影響を与えられるような自分になれば、大学や社会をも動かせるはず。今学期こそいいスタートを切ろう。