開かれたアジアの世紀へ

第842号(2001年10月15日号)

 日本の隣国、韓国。ユーラシア大陸から突き出た位置にある韓国と日本は、古来より人々が行き来し、さまざまな交流が行われてきた。

 しかし、「近くて遠い国」と言われるように、実際には文化・風習が大きく異なっている。過去には日本が韓国を併合していた時期もあり、また1965年の国交正常化以後も反日・反韓感情がネックとなるなどしたため、これまでの日韓交流の道は決して平坦なものではなかった。

 そのような日韓交流に、前世紀末頃から進展の兆しが見られるようになった。1998年10月には、日本の小渕元首相と韓国の金大中大統領とにより日韓共同宣言が発表され、21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを構築していく上での大きな契機となった。またサッカーワールドカップが日韓共同開催される来年は「日韓国民交流年」と位置づけられ、政府・民間レベルを問わず広範な交流を図っていく準備が進められている。
 中でも特筆すべきなのは、韓国での日本文化解禁政策に代表されるように、日韓の文化交流が飛躍的に進んでいることである。日本の文化が韓国で受け入れられるようになり、同時に韓国映画「シュリ」が日本で大ヒットするなど韓国文化が日本で受け入れられ、特に若い世代を中心に日韓関係は大きく改善される傾向にある。また東大においても今年の卒業式でソウル大の総長が来賓として式辞を述べるなど、ソウル大との学術交流も進展しつつあるのが現状だ。

 21世紀は「東アジアの時代」と言われており、とりわけ日本、韓国、中国の三国が共に手を取り合っていくことが必要とされている。しかし思想・文化的背景が異なるこれらの国々が手を取り合うのは決して容易なことではない。立場の違いや相互の不理解、歴史的問題などのため、小さな摩擦や衝突が外交問題にまで発展しかねないのが現実である。

 そんな中、ワールドカップ共催を来年に控えて交流の拡大が図られ、新たな関係が模索されつつある今こそが、日韓関係を見直し、これを深めていくいい機会ではないだろうか。確かに、両国間には未だ政治上・外交上の問題が山積みとなっている。しかし、これらが若い世代や民間レベルでも勢いづいた交流促進の気運を妨げることがあってはならないし、古くから双方の願いとされてきた両国間の友好と有意義な交流は、歴史の悲願であり、現実のあらゆる利害を越えて達成されるべきものである。今、双方がお互いの文化を知り、お互いの背景を知って理解を深めることが、よりよい日韓関係を模索し、これを実現していく第一歩となるはずである。

 

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