淡青手帳

第852号(2002年2月5日号)

 長らくお世話になった大学院の先輩が、仕事も決まり地方へ行くことになった。2月以降は時間が取れないということで、試験勉強のあい間をぬって歓送会を行った。

 歓送会といっても部員の自宅で、手作り科理を囲んでのささやかなものだったが、部員たちは思い思いに趣向を凝らした出しものやプレゼントを用意したりでおおいに盛り上がった。

 一人一人が送別のメッセージを告げていくと、数々の想い出が脳裏によみがえり、涙ぐむ部員も。皆で長淵剛の「乾杯」をかえ歌で歌い、送別会も最高頂に達し、残すは送られる先輩からのメッセージのみとなった。

 誰もが感動的な終幕になるかと思ったその瞬間。ちょっと待ってと奥に引っこむ。再び現れた先輩の顔にはほっぺと鼻頭に赤絵の具。マジックでひげをはやして、十八番の演芸が始まった。これまで数多くのパーティーで下級生たちを笑いころげさせてきた伝説のコントを被露してくれた。

 いつも笑顔を絶やすことなく、後輩たちの面倒をよく見てくれた。自分が送られるその場でも、ただ送られることを潔しとせず、最後の最後までおしみなく与えようとする先輩の姿にはあらためて感動ひとしお。

 ペイントした顔で話す最後のメッセージに、一同涙と笑いをこらえながらの感動のフィナーレとなった。

 

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