第898号（2003年9月15日号） |
| 第９回世界陸上選手権の女子マラソンで野口みずき、千葉真子、坂本直子が２、３、４位でゴールした。日本は個人の金メダルこそ逃したものの、各国上位３人の合計タイムで競う団体戦の４連覇を成し遂げた。 学問の世界においても、女性科学者がおかれた状況に一筋の光をあてることを目的として設立された猿橋賞が今年で22周年を迎えるなど、女性の活躍を支える社会的土壌が整えられつつある。 しかし今日、女性の社会進出の基盤になっている「男女共同参画」のなかには、生物学的に厳然と存在する性差をも否定する思想がしばしば見受けられる。この思想が生まれた背景に、あたかも男女間には性別に起因する優劣が存在するかのような誤った認識が一般化した事実があったのは否定できないが、優劣を解消するために性差を否定するのは妥当とは言えない。 今夏帰省したとき、実家の庭先にテッポウユリが恥ずかしそうに咲いているのを見た。ユリは一般的に清純のシンボルとされているが、その美しさに理想の女性を想うのは今も昔も変わらないのだろうか昨今の女性の活躍は、ユリに見られるような理想の女性像を模索し、それぞれの個性にふさわしい活躍の道を追求していった結果ではないだろうか。
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