淡青手帳

第899号(2003年10月5日号)

 「地震、雷、火事、親父」――恐いものの順として昔から言われている言葉である。親父が今でも恐いのかといった疑問はあるにせよ、地震が一番恐いものであることは今も変わりはない。

 地震の恐さは、いつ起こるかわからないことと、その被害の大きさにある。かつては「なまずが暴れるから」とさえ言われていた地震の原因は大方解明されているが、それを予知する技術はいまだ確立していない。

 先月中旬、地震予知を研究するグループが、電波の観測により関東地方にM7程度の地震が起こる可能性が高いとの発表を行い話題になった。実際予告された日に地震は起きなかったが、その数日後に関東地方で震度4の地震が起きている。これが前兆を観測した地震であったかどうかを含めて、地震予知の研究が進むことを期待したい。

 先月末、十勝沖を震源とする震度6弱の地震が発生した。阪神大震災級の大地震であったにも関わらず被害が比較的小規模であったのは、神戸市のような人口密集地でなかったこともあるだろうが、釧路沖地震の教訓を生かした備えができていたからであろう。

 地震予知にはまだ時間がかかるだろう。しかし地震被害を軽減するための対策は今すぐにでもできる。地震予知技術が確立した時、すでに地震は起きているのである。

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