淡青手帳

第903号(2003年11月15日号)

 パソコンの普及、読書離れなどから子供の漢字力低下が危惧されている。文化審議会国語分科会は、小学校の国語の授業時間を大幅に増やすべきだとする報告案をまとめた。その中で常用漢字について、現在は小学校で1006字が読めればよいとされているが、2倍近くの1945字を読めるようにするべきだという提案がされた。

 漢字は欧米の国々でも人気がある。街には、「足」や「豚」と縫いこんだ野球帽をかぶった人や、「友」と彫ったイヤリングをつけている人がいたりする。デパートでは「善魂」「特攻隊」「蝶類学会」などとプリントした衣服や食器が売られている。

 そんな漢字の起源は中国の殷の時代にまでさかのぼる。当時殷の王室では、亀甲や牛骨を焼灼して、できたひび割れによって吉凶を占い国事を定めた。これが漢字の原型とされる甲骨文字である。「口」という字は神に祝詞をあげるときの供えの器を象徴したものだという。また、「告」という字の上の部分は榊(さかき)の枝葉を現し、器に榊の枝葉をかかげて神へ報告するスタイルを現しているのだという。

 漢字は当時の人々の風俗を映し出したものなのだ。日本、アジアの国々で、今なお使われ続け、欧米においても人気のある漢字。貴重な文化遺産のひとつである。

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