淡青手帳

第905号(2003年12月5日号)

 最近、テレビ局のプロデューサーが視聴率調査対象の世帯に謝礼金を払い、視聴率操作をしていたことが明らかになった。視聴率はテレビ業界においては絶対的な権威を持つ数字であり、その信頼性が揺るがされたことによる衝撃は大きい。

 関東地区の視聴率調査のサンプルは600世帯である。このサンプル数だと、「視聴率20%」と言われる番組では±3.3%までの誤差はしばしば発生する。つまり前週に19.8%であった番組が今週20%だったとしても統計的には全くといっていいほど意味を持たない。

 先の総選挙当日、各テレビ局は独自調査による各党の議席予測を発表した。各局ごとに差はあったが、民主党が200議席に達し、逆に自民党は議席を減らすというのが大方の予測であった。しかし実際は、民主党は躍進はしたものの200議席にはほど遠く、逆に自民党は前回議席に若干上積みする結果になった。この結果は予測が大きく外れたようにも見えるが、NHKは誤差も含めて発表したため、各党の獲得議席は予測範囲内に入っている。おそらく民放各局も誤差評価を行えば、予測は外れていなかったのであろう。

 標本調査に誤差はつきものだが、民放関係者にはこの認識が欠けているようだ。我々も情報を取得する際には注意すべきである。

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