淡青手帳

第913号(2004年3月25日号)

 先日、韓国で国会が大統領弾劾案を提出したことがニュースをにぎわせた。国民の70%は反対していると言われており、あちこちで反対集会が行われている。弾劾案が可決された週の土曜日、たまたま用があってカンファムンに行ったのだが、初めて生で見る反対集会の様子に圧倒された。なんでも7万名が集まったとか。

 韓国のこのような政治に対する意見集会やデモを見ると、つくづく日本との文化の違いを感じさせられる。普段それほど政治的ではない人でも、今回のように大きな政治問題が起これば、われもわれもとひとつの場所に集う。デモを肯定するわけではないが、一般の国民が、自分が行動することによって国を変えることができると確信しており、またそうだからこそ行動しなければという強い責任感を持っている点は、日本にはない文化ではないだろうか。長い軍事独裁から自分たちの力で民主化を勝ち取ったという自負ゆえなのかもしれない。

 日本では若者の政治離れ、選挙の投票率の低さなどがよく問題にされている。皆「所詮自分一人の行動、一票では何も変わらない」という思いをどこかしら抱いているのだろう。国民一人一人が、誇りと責任感を持って自分の国の政治を語り参加するとき、初めて本当の民主政治が始まるのである。

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