「法は何のためにあるか」と問われたら、「人間を幸福にするためにある」と答えるのは至極当然に思われます。しかし他方で、法を幸福の手段に還元してしまうことには、ためらいや警戒があることも事実です。
これを四つの面から見てみましょう。
《利己主義の罠》
「法は人間を幸福するためにある」という概念は、「法は私を幸福にするためにある」という概念にすりかわってしまいます。法は自分の幸福の最大限のための戦略的手段として利用できる限りのみで尊重され、様々な脱税テクニックの追及、法の抜け穴探し、権利の濫用、厳格な証拠法などを逆用した責任逃れなどが実践されるでしょう。
《功利主義の罠》
功利主義は「最大幸福の原理」を、法の根本的な評価基準としますが、「公共の福祉」の観念の濫用による基本的人権の侵害の安易な容認や、公共事業に伴う騒音などの生活侵害の救済に消極的な「受忍限度」論などに問題点が具現しています。
《パターナリズムの罠》
パターナリズムとは、強制される者の幸福を理由に法的強制を要請し正当化することを言います。これは行き過ぎると、個人の自由や責任感を腐食させ、権力を批判的に統制する政治的主体性も掘り崩してしまうという問題が指摘されています。
《卓越主義の罠》
幸福は個人の主観的欲求の実現にではなく、倫理的に卓越した生き方の実践にあり、人々の生を法によって善導するのが国家の役割である、という思想とその実践が卓越主義です。これは「崇高な動機」に基づくがゆえに過熱しやすく、人々の信仰・思想・芸術表現の自由や、性生活を含むプライヴァシーへの偏狭で狂信的な干渉に走る傾向があります。
《幸福追求権の現代的意義》
以上を考慮に入れた上で、最初の問に答えてみると、答えは「法が人間を幸福にできるという保証はない。しかし、この法の限界は法の欠陥ではなく、むしろ法が守るべき節度である。法にこの節度を要請するのは、自由や公正など、幸福には還元できない価値である」となります。それでは、法がこの節度を守りつつ、人間の幸福に貢献することは可能なのでしょうか。この問題についても多少考察してみたいと思います。
(講義要項より)
「マネー・ゲームから幸せのゲームへ」 片平秀貴 経済学研究科教授
今日のわが国には古い消費者と新しい消費者の二人の消費者がいます。わが国の消費市場の低迷と混乱の鍵を握っているのが、この「新しい消費者」の出現ではないかと思うのです。
古い消費者のキー・フレーズは「…にしておけば間違いない」です。古い消費者にはこれといった積極的な好みとか主張がないので、今まで間違いがなければ、その枠を超えてヨソ者を試す理由はありません。
一方、新しい消費者のキー・フレーズは「…が私のスタイル」です。何が欲しいのかがはっきりしているので、それをメーカーやお店にこだわらずになるべく安く手に入れることを心掛けます。「探せばもっと良いものがある」というのが基本姿勢で、メディア、口コミなどへの情報感度が非常に高いのです。また社会、世界、地球といったものにも強い関心を持っています。
消費者の変化に応じて、企業のあり方も変わらなければなりません。今日の消費者市場の混乱は、わが国の多くの企業がこの消費者の変化に追いついていないことから来ていると思うのです。
旧いゲームのルールは一言で言えば「大きくて曖昧」です。たいして特徴を出さずに、目先を変えながら決して間違いを起こさないことがポイントです。多少本来の意味とは異なりますが、これを「マネー・ゲーム」と呼びましょう。
新しい消費者に受け入れられるためには、企業側でも明確な主張を持って働きかけを行わなくてはなりません。「自分たちは何のためにあるのか」そして「その人たちにとって自分たちは何なのか」を明確にし、それを一貫して追求するというのが新しいルールです。数字が先にあるのではなく、顧客が先にあって、その人たちをいかにして幸せにするかをまじめに考え実行する。その意味でこの新しいしくみは「幸せのゲーム」と呼んでいいでしょう。
わが国の消費社会もやっと「幸せのゲーム」の時代に入りつつあります。定着するまでに何年かかるか分かりませんが、その暁にはわが国の消費者が今より幸せになっていることは間違いありません。
(講義要項より)
麗澤大学教授 浦山重郎
1.セガ
1.本体
サターンは「システム32」(九〇年発表)と呼ばれるアーケード用基板が下敷きになっている。これにポリコンのCG用基板の「モデル1」と「モデル2」に搭載したDSPなどを組み合わせている。更に従来の二次元画像を扱う処理回路も統合している。つまりサターンは、過去の財産を丹念に積み上げていった、連続性を重視したマシンである。
日立製の32ビットのRISCチップ(SH−2)をCPUに二つ搭載し、ほかに七つのプロセッサがある。その中の一つは、メガドライブのCPUとして使われていたものが、音楽用チップとして用意されている。これを考えるだけでも、今までのゲーム機とはいかに違うか分かってもらえるかと思われる。音楽チップと同じく、あることに特化した七つのチップ(例えば画像・ポリコン・テクスチャーなど)が、処理を分散し、全て同時並行的に処理を進めていくという構造をとっている。これはソニーのPSも同じである。では肝心の二つのCPUは何を行っているかというと、それらを監視、指示する「司令塔」程度の役割しか果たしていない、というのが素直なところだ。
CD−ROMの他に、音楽用CDやビデオCD、フォトCD、CD−GとCDフォーマットのものはほとんど楽しむことができ、マルチメディアとしての可能性も十分である(※Hiサターン以外は、一部のCDフォーマット再生のために、拡張アダプターを購入する必要がある)。
ファミコンと違い、ACアダプターは内蔵されているため、電源ケーブルはコンセントのみと、すっきりした設計が配慮されている。画面もフルカラー表示が可能で、今までにない色彩でゲームが楽しめる。
CPUは日立製作所、音楽用チップはヤマハ、CD−ROMドライブは日本ビクター、と日本有数のハイテク企業が技術協力し、完成した本体であるというのがサターンの特徴である。
また、日立製作所もHiサターン(六万四千八百円)、日本ビクターもVサターン(オープン)と互換機を発売し、セガに援護射撃を送っている。
戦略商品はサターン 流通も自社でコントロール |
2.ソフト
もともとセガは、アーケードゲームで人気ゲームを数多く持っている。そこで得た多くの技術とソフトをサターンに移植していくのが中心となっている。中でも発売時最大の目玉であったソフト、『バーチャファイター』は、本体よりも売り上げが多いという逆転現象まで起こった。(本体の供給不足のため)サターン保有者のほとんどが、『バーチャ』を持っていると考えられるので、百万本以上売れる、次世代機初のミリオンセラーとなった。
メガドライブまでのセガは、サードパーティが少なく、発売するソフトもセガが中心であり、そこにMDの落とし穴があった。しかし今回は国内で三百六十五社、海外でも四十社と多く、九四年十一月現在で、百十一タイトルのソフトが発売されており、ソフトの最多価格帯は五千八百円(四十本)、平均価格は六千四百七・二円となっている(九五年十月現在)。
発売当初はアダルトソフトについては検討中としていたが、現在では十八歳未満は購入できないという規制のもとで発売を許可している。
システムとソフトウェアの橋渡しをする基本ソフト(OS)は本体に搭載しなかったため、商戦開始時点でソニーに比べ、ソフト本数にかなりの差がでてしまった。しかし、九四年半ば頃からは、マイクロソフトがOSを作り、サードパーティにも開発しやすい環境を整えたため、ソフトは増加していった。
(S32・法卒)
タテのカギ
1.今回の選挙ではこう呼ばれる選挙が目立ちました
2.星野行男氏との宿命の対決に勝利した故田中角栄元首相の実の娘
3.民主党の代表の一人。「――直人」
4.元力士。今回の選挙に出馬し見事当選しました
6.一定の候補者や党派に投票することが決まっていない人達の票。「――票」
8.フランス語で「再生」「復興」を意味。十四〜十六世紀にイタリアを中心に起こった運動
11.アフリカには今もこれで苦しんでいる人が大勢います
14.建築・家具などに用いられるニレ科の落葉高木
15.多くの人の説が同時に一致すること。「――同音」
17.←→人情
ヨコのカギ
1.社民党党首。「ゼロからの出発」を強調
5.小麦粉をイーストで発酵させて焼いたインドのパン
6.授け与えること
7.通信能力が発達。芸も覚えます
9.ひとりぼっち
10.田や畑にまくこと
12.体ばかりでかくて、役に立たない者。「――の大木」
13.今回の総選挙で大敗。井出代表も落選し、辞意を表明
15.鸚鵡(おうむ)とよく似ています
16.十二月二十二日から一月十九日生まれの人は、これに属します
18.お祝いの時などでよく割られます
19.失敗をして上司の――に触れた
答: 住所: 氏名: 電話番号: 大学(職業): 学部: 学年(年齢): 紙面に対するご意見、ご感想: |
締め切りは11月11日(月)です。
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