淡青手帳


「今日の最も重い病気は、人から愛されていない、だれからも見捨てられていると感じることなのです」。
この言葉に感動してマザーのことを知るようになった。
マザーは熱心なカトリックの家に生まれ、十二歳で一生を神に捧げて生きることを考え始め、
十九歳で異国での宣教を夢見て、海を渡った。
そして、貧しい人たちのなかでも最も貧しい人に仕えていった。
その救いの行脚は世界各地にまで及んでいった。



「愛されるより 愛することを」。
これは一九八一年に来日したとき、上智大学の学生の前で語った言葉である。
「ラブ・イズ・アクション(愛は行動だ)」と語る彼女の行動力は、死ぬまでつづいた。



「愛する」ためには、まず「愛された実感」が必要である。
誰かを愛したいという思いがあったとしても、どのように愛していけばよいのか、
そして、愛することによってその人はどれだけ喜ぶことができるのか。
それを体験しなければ、「愛する」行動にはなかなか出られないのではないか。
ではその原点はどこにあるのか。
それは家庭の中での親子の愛、まず親から愛された実感、これが大切ではないであろうか



神戸の小学生殺害事件をはじめとして、凶悪犯罪の低年齢化がみられるこの日本。
日本の子供たちは、今「最も重い病気」にかかりはじめているのではないだろうか。


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