生命の科学シンポジウムが7月2日、本学大講堂(安田講堂)で開催された。シンポジウムは蓮實総長の挨拶ではじまり、午前中は「最先端科学をやさしく」をテーマに、午後からは「最先端科学をくわしく」をテーマとしてそれぞれいくつかの講演がなされた。シンポジウムには最初から最後まで多くの聴衆が訪れ、特に午前中は高校生以上対象ということもあり、熱心に講義に耳を傾ける高校生の姿も多く見られた。 |
シンポジウム開催の意義について語る蓮實総長 |
・「両生類の初期発生での器官形成と形づくり」…本学大学院総合文化研究科 浅島誠教授
・「神経科学の最前線」…理化学研究所脳科学総合研究センター 伊藤正男所長
・「遺伝子治療臨床研究における医学倫理とその土台」…本学医科学研究所附属病院 浅野茂隆院長
・「ゲノムと情報」…本学医科学研究所 宮野悟教授
午前の部は一般向けに最先端科学をわかりやすく紹介する内容になっており、当日は高校生も多く訪れ、熱心に講演に耳を傾けていた。
午後の部は本学前総長の吉川弘之放送大学学長の講演で始まった。「工学者の生命観」と題して、工学者も生き物からモノを作るということを学んできたが、環境問題において循環系・持続性などを考えるとき、学ぶことは今後さらに多くなるだろうと語った。
2番目の講演者は当初、メルリン・サイエンティフィック・サービスのクリス・エヴァンス会長の予定であったが、交通事故のため来場することができず、代わってマンチェスター大学のマーク・ファーガソン教授が講演を行った。以降の講演者と講演内容は次の通り。
・「マウスと医学研究」…本学医科学研究所 勝木元也教授
・「先天的欠損症の予防と治療」…マンチェスター大学 マーク・ファーガソン教授
・「サイトカイン:造血細胞と医学のフロンティア」…本学医科学研究所 新井賢一所長
・「そううつ病の、二極性の分子遺伝学」…ウエルカム・トラスト ニック・クラドック主任研究員
・「脳科学の将来と発生神経生物学」…本学医科学研究所 御子柴克彦教授
最後に医科学研究所の新井賢一所長が全体のまとめとして、今後市民、若い世代との対話や国際的な対話がより必要になってくるだろうと語り、シンポジウムは幕を閉じた。午前の部、午後の部共に多くの聴衆が訪れ、みな熱心に講演に聞き入っていた。
本学は、デリバティブ(金融派生商品)や電子マネー、電子商取引など金融先端分野を研究する先端経済工学研究センター(仮称)を来春にも新設することを発表した。従来縦割りだった経済・経営学と情報通信などの工学を組み合わせ、金融ハイテク分野の研究の強化と新しい金融サービスの創出を目指す。
この研究センターは、先端科学技術研究センター(先端研)と連携され、教員や研究者には金融関連のハイテク技術を持つ外資系金融機関や国内の情報通信系企業、大蔵省や通産省、郵政省などから専門家を迎える予定。その他、大学で教えた経験のある米国のハイテクベンチャー経営者も招く。研究者の人数は40人程度になる見通しで、将来は経営学修士の養成講座を併設するという。
センター設立に向けては、先端研の野口悠紀雄教授らを中心に設立準備委員会が発足しており、近く研究テーマなどを検討する研究会を設けることになっている。
キャンパス情報 |
「あー暑い」教室でもそんな声が多く聞かれる季節となった。夏といえば夏休み。しかしわれわれ学生にはその前に大きな壁が立ちはだかっている。前期の試験だ▼勉強も大事だが、大学はそれだけの場所ではないはずだ。一生の友人を作るのも、社会に出るための土台を作るのも、今こそできることだ▼世間の東大に対する目は期待と不信との両方である。東大の卒業生は社会において大きな役割を果たしてきた。しかしその中で数多くの汚い事件をもたらしてきたことも忘れてはならない▼東大生に対するイメージというものが作り上げられている。良い面を挙げれば、それは日本とか世界といった幅広い大きな視野を持っているということ。その反面、あまりにもエリートコースを進んできた結果、傲慢になっていると見られていることも確かなことである▼これからは真のリーダーが必要とされる時代だ。今までのリーダーの多くはあまりにも権力に対する固執があり、自己中心的なことが多かった。これからは全体に対して責任感をしっかりと持ち、そのために自分を用いることのできる、そういった人材が必要なのである▼まだまだ東大は日本やアジアに対する影響力がある。だからこそ、それを正しく用いることのできる人格を今このときに磨きたい。