今、防災について(12)

高齢者対応の災害救助法を

 平成10年防災白書が発表された。国民の防災意識は年々低下し「兵庫県南部地震」発生以前に戻ったことが指摘された。
 大地震に備えていない人が4人に1人とか、自主防災組織の結成率が50%、規約を有する自主防災組織がその70%と指摘された。
 災害救助法は敗戦直後の昭和22年に制定された。制定後の昭和25年の国勢調査によると当時の平均年令26.6才(平成7年39.6才)、65才以上人口は415万5180名、総人口8411万5千名に対して4.94%にすぎない。
 敗戦時に目立ったのは空襲の惨禍の結果、戦災孤児の問題がクロ―ズアップされていた。「兵庫県南部地震」で孤児となった子供達もいるが、大きく社会問題として取り上げられたのは高齢者問題である。災害弱者として先ず第1に挙げられるのは、ひとり暮らし老人や寝たきり老人であり、仮設住宅においての孤独死が話題となっている。
 平成7年現在65才以上の国民は総人口の14.5%に達しており、平成18年には25%を超えるのではとも言われている。一方時を同じくして高校生数はボトムに達するそうである。
 前回の論考では災害救助法の項目を安政2年の江戸町奉行がとった救助策と、災害救助法の救助策を対比したが、143年前と51年前では年齢的にまだ極めて大きな差は生じていなかった。しかし48年後の時点で65才以上の国民は総人口に占める比率は3倍近くになっており、人口も4倍に達している。
 行政の防災対策もハンドブックや広報により伝えられているが、国民全員が内容をよく読んでいるかというとそうではない。江戸時代半ば以降は大家が店子に町奉行所からのお達しや高札を読んで聞かせたから、現在よりも徹底していたのではないかと思われる。現代人は忙しい日常に追われて、行政から伝えられてくる情報は一部の人を除いて末端まで達していない。重要な事項、こと人命にかかわるような防災問題等は、コミュニティで集会を開催し直接対面し説明し洩れのないようにしなければならない。
 災害弱者として先ず第一に取り上げられる高齢者問題も、日頃から地域の情報を集積し救助・救出に生かさなければならないが、一部のコミュニティで推進されているが、殆どの地域ではプライバシーの壁に阻まれて地域社会に情報も蓄積されていない。そのため災害弱者を救出・救護や食糧・飲料水供給、避難誘導のシステムも構築されていない地域が多く存在している。国民の4人に1人が高齢者という時代に対応した災害救助法が制定されなければ、再び神戸の愚を繰り返すことにもなりかねない。

 都市防災研究会 代表補佐 大間知 倫(おおまち ひとし) 昭和33年経卒


健康あれこれ

理想的な断食法の理論と実際(1)

断食は効力ある療法
病気を遮断する効果も

 断食については特に医学者の間で無理解・誤解・偏見が著しいので、標題に関して真実の内容をご紹介し、各位の参考に供したい。
 重篤なる疾患に冒された患者が食欲不振に陥るということは、その場合に身体が栄養を必要としないからである。犬や猫が羅患したり大怪我をした時に食餌を与えても取らぬのは、自然が回復を急がせるために自ら断食をせしむるのである。
 それを人間は栄養が入らなければ生きられないと勘違いをし、病人を治す尊い使命を持った医者たちが「病勢に打ち勝つにはまずがっちり栄養を!」と錯覚し、食欲がなくても体力をつけようと無理に食べさせ、甚だしきは重態で意識不明となり、経口的に栄養の摂取が難しくなると、静脈注射や滋養浣腸で不要な栄養を与えようとする。
 このように生体を解せぬ本質的に間違った現代医学者の慣行により、当然助かる筈の有為の人材が死地に追いやられるのである。
 人間は疾患に冒された時、直ちに栄養を絶つ、ということができれば、生体の殺菌力は極限まで高められ、副作用が皆無で、いかなる強力な抗生物質よりも強く働いて、生体は治癒機転をとり、天下何物も恐れるものはない。先頃は香港風邪が流行してワクチンの製造が間に合わぬと伝えられていたが、ビタミンCを柿茶の形(薬剤では無効)で十二分に摂取しておれば病菌の侵入口が完全に閉ざされて羅患することはない。
 不覚に牛飲馬食が続いて抵抗力が落ちるとすぐに感染するが、この場合でも感染した初期に1〜2日間の断食を断行すれば病菌が何型であれ、肺炎に移行することなく、すぐに根治できる。但し断食1日の場合は翌日は平常食の半分をよく噛んで食べ、2日以上断食をした場合には追って示す表のとおりに重湯から厳格に回復しなければならない。
 断食はあらゆる疾患に対して唯一無二の効力ある療法で、健康な時に断食を行うことが病気を未然に遮断する最良の手法である。
 なお、断食の偉効について興味ある事例を若干ご紹介すると、植物界では松・杉・檜の如く長生きをする葉緑樹は冬季に減食ないし断食の状態になることは年輪の示すとおりで、これにより、これらの樹木はいよいよ強固になって春夏に活動や増進をする活力を蓄積するのである。
 動物界に目を転ずると、昆虫の世界では変態の過程において一定期間、断食をするのがならわしで、断食により初めて変態を完成し得るのである。
 このようなことは蛙についても言えることで、オタマジャクシがいよいよ蛙に変化しようとする直前には、一定期間の断食をするものであるが、(断食により尻尾がなくなって手足が出る)人工的に多量の栄養を引き続いて取らせていると、遂に蛙にはなり得ず、いつまでもオタマジャクシの状態のまま留まっていることが実験的に証明されている。
 釈迦が断食をして解脱の域に達したことや、マホメットが「断食は宗教に入る門となり」と喝破していることは、オタマジャクシが断食の断行で蛙に飛躍することと相照応して極めて興味深い。
 穴熊は雪解けと共に長い冬眠の断食を終わり、夏から秋にかけて著しく肥満してくるが、この穴熊を捕らえて晩秋のころより温室で飼育をし、盛夏時と同様に豊かな食物を与えると、彼らはこれを喜ばずして断食を始め、過剰な栄養を免れようとする。にもかかわらず、強制的に栄養を与え、数年間、継続すると、彼らは天寿を全うせず、夭折するに至るのである。
 われわれは交際上の必要から暴飲暴食をせねばならぬこともある。かような時には、その翌日、断食をして過剰な栄養を排除するように才覚すれば、いつまでも健康を維持し、かつ増強することができるのである。
 まことに断食は単に宗教的な目的を持つだけでなく、健康の増進や不運の人生を改める開運のためにも、不可欠の秘法であることを私はここに強調したい。

  門脇弘(評論家)


赤門クロスNo.79

 今回もオーソドックスな問題です。クロスができ上がったら、二重ワクのなかの文字を適当に並べて下さい。ある食べ物の名前が出てきます。それが今回の答えです。がんばって解いてみてください。(出題K・B)

タテのカギ

2.相手の気勢に押されて気分的に負けること
3.おじいちゃん、おばあちゃんにとって、――の誕生は何よりもうれしいことです
4.――ソディー。民族的な色彩に富む叙事的な器楽曲。狂詩曲
5.――ヘイト。南アフリカ共和国にあった人種隔離政策
6.暑い季節にはぜひ食べたいものです
8.――14世。17世紀から18世紀に在位したフランスの国王
9.突然皮膚が裂ける現象
12.――の金さん
15.暑い季節です。暑中――は書きましたか?
16.畑の中でいつも立っています
18.――車・――蒟蒻・――鋸

ヨコのカギ

1.4年前、完全試合をした巨人の投手
5.「――は檜。この世近くも見えきこえず」(枕草子40)
7.りんごのお菓子。焼き立てがおいしいです
9.――見る。ものの隙間からひそかにのぞき見ること
10.「海豚」は何て読む?
11.子供の遊びで、家庭生活をおもちゃを使って真似ること
13.――造り・――花・――垣
14.夏から秋ごろに淡黄色の小花をつける多年草。――なえし
17.ワールドカップで日本が3戦目で戦った相手
19.南米の国の1つ。首都はサンチアゴ
20.――恒例の花火大会は夏の風物詩です

応募方法

 誰でも応募できます。答えを「東大新報 赤門クロスワード係」に送って下さい。住所・氏名・電話番号・大学(職業)・学部・学年(年齢)、紙面に対するご意見、ご感想をお書き添えください。

プレゼント

 正解者の中から抽選で10名の皆さんに「東大グッズ」をプレゼントします。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。締め切りは7月25日(土)です。どんどんご応募下さい。