健康あれこれ vol.39 |
断食を行うと内臓の働きをフルに活かすことができ、特に胃腸には食物が入らぬから収縮を始め、胃拡張や胃下垂はたちどころに回復する。断食をして著しく目を見張る効果の一つは、断食の断行によって宿便が腸からはずれ、腸管の異常、例えばメッケル氏の憩室などはきれいに消え、捻転など、腸管の乱れが治ることである。断食をすると腸管には栄養が入って来ないから収縮し、腸壁に永年こびりついた宿便もはがれてくる。大腸の大部分は古い糞便の停滞によって麻痺したり重なり合っているものだが、宿便が排泄されると縮小して正常に戻る。腸管の故障が治るためには多量の血液や膿が出てくることもあるが、これらの症状は断食によって腸管が正常に戻る過程で排泄するものゆえに、断食をした効果の現れとして大いに喜ぶべき現象である。女性が断食をすると一週間位でおびただしい出血のある人を見るが、これも子宮等の回復の兆候であるから少しも心配はいらない。
もちろん、これらの変化は心身の大変化であるから疼痛や嘔吐など不快感に悩まされることがある。しかしこれもあらかじめ覚悟をしておれば順調に経過することができる。
嘔吐は宿便の剥離が多量で、一時的な腸閉塞を起こしたものである。かような場合には金魚運動をやるか、微温湯の浣腸をするかして便通を計るとまもなく治るものである。腹痛はもとより金魚運動でよろしい。肝臓は多く肥大したり硬化しているものだが、断食で過剰な栄養や滞留した毒素が引き出されると縮小して軟化する。断食外新方式の医学で現代医学では治療の難しい肝硬変の全治した治験例が渡辺正博士には沢山ある。血液は栄養の供給が断たれるから淡くなって流動性が増し、組織の隅々まで還流して血液量も必要最低限度となるから、高血圧患者も直ちにその血圧が降下して脳出血の危険から逃れることができるのである。
まことに断食こそは病気の発生を遮断し、健康を増進させる王者だが、実行するために日常の業務を休むようでは生存競争の熾烈な昨今、実行は不可能に近い。私の奨める断食はその点までも考慮して設計をした断食である。
私自身の体験を申し上げると、私は長野高校2年の時、正規の断食(2・4・6・8・8日の断食)をやり遂げ、しかも帰校後には20kgの新刊雑誌を自転車に積んで夜10時過ぎまで配達したし、弟・尚平(防衛庁事務官を退官して手相研究家)は20kgの雑誌を積み、遠く松代など郡部までの配達さえもした。看護婦さんが一切世話をしてくれる渡辺正博士の医院も東中野にあるから入院するのも一法だが、意志堅固なら8日位の断食なら入院をせず働きながらでも実行ができる。人間はいかなる疾患に冒されても、どんなに心身に障害がある場合でも、すぐに断食ができればすべての場合に重態に陥ることはない。
もしも病気となり、処置が不明の場合にも直ちに断食をさせ、生水を補給して心の平静を保たせるならば、症状は確実・急速に解消するものである。厳格に正規の断食(女性は3・5・7・7・7日間を行い、断食と断食の間に回復期間を40〜60日間置くから、全行程を終了するには約1年かかる)を行うと白髪は黒くなり、10〜30歳は若返り、閉経した女性もまたメンスが始まるものである。
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<断食法実施前の注意事項>
(1)断食を行うに先立ち、断食経験者に具体的な手法を聞き、よく理解した上で行うか、渡辺正博士、甲田光雄博士及び山崎佳三郎氏ら断食に深い理解のある医学者の監督下で行うこと。病気が症状を現わし始めた初期に断食を行うと、2〜3日で簡単に回復する。
種々の間違った治療を行い、重態となってしまったものは、たとえ断食を忠実に行っても回復に骨が折れる。このような重病人が断食を行うと、症状が増悪したり、新たな症状が出てきたりするものだ。
これも「症状即療法」という真理がよく理解できていて、正しい処置が施されると助かるが、驚いて断食に無理解な病院に再入院をすると、「裏門」から退院をするようなことになる。 (評論家)
昨年来、インドネシアやタイ、マレーシア、韓国などの経済危機がアジアを揺さぶってきたが、21世紀初頭に予測される中国の経済崩壊がもし起こると、その激震は今の比ではない。渡辺利夫氏は「中国経済の反転は(アジア経済の)ダウンスウィングではなくハードクラッシュになる」と予測している。経済規模の大きさからして、それは起こりうることだ。現在のアジア経済危機に対する日本の対応は、その時の危機への予行演習といってもいい。本書は、予測されるアジアの危機を、稲垣氏が5人の専門家にインタビューしたもの。アジア経済の渡辺氏の他、北朝鮮問題は西岡力、中国問題は小島朋之、米国のアジア戦略は田久保忠衛、日本のアジア戦略は岡崎久彦の各氏である。
北朝鮮は、既に崩壊プロセスに入っている。問題はいかに暴発させないかで、食糧援助もそのための一助でしかない。社会主義市場経済という、中国の内部矛盾が露呈するのが、早くて2005年、遅くて2020年という。軍の近代化を急いでいる中国の軍事カが、米国と対等になるのが2005年、日本の軍事力を加えた場合で2020年という予測からだ。問題はその後で、ソ連が米国に追いついてから、軍事費の負担に耐えかねて崩壊していったように、中国経済が退行期に入る恐れがある。人口や資源・エネルギー問題からしても、中国は旧ソ連以上に大きな問題を抱え込んでいる。
ここでも重要なことは、いかに中国に戦争の誘惑を起こさせないかである。そのかぎになるのが、日米同盟にアセアン、ロシアも含めた集団安保体制で、すべてを敵に回すことになるという恐怖が戦争を防ぐ。もちろん、経済協力などによる信頼醸成も必要だが、残念ながらそれは決め手にはならない。もう一つ忘れてならないのは、米国が世論に左右される民主主義の国だということ。アジアヘの介入を米国民に納得させるような努力を、日本はアジアの先頭に立って行う必要がある。その先にある大きな危機を知ると、目の前の危機が小さく見えてくる。 (T)
(PHP研究所、本体1450円)
赤門クロスNo.84 |
タテのカギ |
今回もオーソドックスな問題です。クロスができ上がったら、二重ワクのなかの文字をABCDEFGHIの順に並べると、ある人物の名前が出てきます。それが今回の答えです。がんばって解いてみてください。(出題Y・E)
タテのカギ
(1)病気などを治すにはこれが必要です
(2)人造人間。――009
(3)日本人固有の精神。明治維新以降は「――洋才」ということが言われました
(4)牛乳に卵と蜜、氷の細片などを混ぜ、機械でかきまわして作る飲み物
(7)←→ベクトル
(9)源氏物語第一帖の巻名。――壷
(12)安土桃山時代の画家。「唐獅子図」「洛中洛外図」などが有名です。――永徳
(13)ブラジルではサッカーが――です
(16)釈尊の母。中インド拘利城主善覚の妹
(17)法人の事務を処理・代表し、権利を行使する機関。株式会社などでは特に取締役と言います
ヨコのカギ |
(1)先日亡くなった日本を代表する映画監督。――明
(4)――スカート、パジェロ――
(5)等号
(6)ポルトガルの首都
(8)植物の水分・栄養の通路
(10)スポーツ――、――ナビ、――ライフ
(11)緑の野菜。独特の香りがあります
(12)昔はどろぼうというと、この模様のふろしきのイメージがあります
(14)悪い誘いには"――"と言える人間になろう
(15)三角頭に二つの鎌。怒ると体を大きく見せます
(18)日本のケルト音楽ブームの先駆けとなった女性シンガー。アイルランド出身
応募方法 |
誰でも応募できます。答えを「東大新報 赤門クロスワード係」に送って下さい。住所・氏名・電話番号・大学(職業)・学部・学年(年齢)、紙面に対するご意見、ご感想をお書き添えください。
プレゼント |
正解者の中から抽選で10名の皆さんに「東大グッズ」をプレゼントします。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。締め切りは10月1日(土)です。どんどんご応募下さい。
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