淡青手帳

第848号(2001年12月15日号)

 クリスマスが近づき、華やかに彩られた街は急に賑やかになった。心身の寒さに比例してか、たくさんのカップルが身を寄せ合うのを見ながら、物思いに耽りたい季節になったな、と感じる今日である。

 クリスマスが近づけば自然と心が浮き立った子供の頃が記憶に蘇るだろう。今年こそサンタさんに会えるかな、お手紙も書いたんだ、とはしゃぐ無邪気な自分が思い出されて、恥ずかしい。同時に、両親は自分の成長に何を感じていたのだろうか、と思いを馳せてみる。

 皇太子妃雅子さまのご出産、そして敬宮愛子さまご誕生への安堵。敬うべき雲上人としての皇室ではなく、伝統的な温かい家庭としての皇室に慕わしさを感じた。支配だ象徴だとかいう議論の前に、今回の慶事を通して、いかに人の事情・心情を慮ることのできる自分かを省みた方が余程身の為だと思うが。

 今の家庭やさにあらん、子育てが面倒で子供を持ちたくないのだという。オアシスに辿り着く為には、限られた水筒の水を手に、渇きに耐え抜くのが砂漠に生きる者の使命だろう。人は照りつける太陽と目前の広大な砂丘に意気消沈したのか、心身とも既に渇き切ってしまったのか。

 と日本の行く末を案じながら、物思いに耽る時間があったら学業に費やすべきだ、と感じる今日でもあった。

 

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