第855号(2002年3月25日号) |
十日間の韓国旅行中、二歳年下の韓国人学生との再会を果たした。短い時間だったが一緒に夕食をとり、二人は時の経つのを忘れて語り合った。 彼との出会いはちょうど一年前、やはり韓国旅行から帰国した成田空港でのことだった。一人の若者が警備員に向かって韓国語で何か話し掛けていたのだが、言葉が通じず、互いに困り果てているところだった。何か役つことがあればと思いつつ、片言の韓国語で話し掛け、事情を聞いてみた。彼は日本にいる母親に会うため、関西国際空港へ向かう便に乗るはずだったとのこと。しかし何かの手違いで成田空港に着いてしまったのだった。 さっそく母親に連絡を入れた。息子を何とか大阪駅まで送り届けてほしいという母親の依頼を受け、東京駅まで同行し、大阪駅までの新幹線のチケットを購入した。腹が減ったろうと思い、菓子やパンも買って持たせた。新幹線の改札での別れ際、彼は幾度となくカムサハムニダ(ありがとう)を繰り返した。彼を後ろ姿を見送りながら、何とも言えないさわやかなものを感じたことは今も忘れない。 その後、二人はメールで連絡を取り合い、このたびの訪韓で感激の再会を果たしたのである。彼は自分のことをヒョン(兄さん)と呼ぶ。偶然の出会いが結んでくれたこの兄弟関係、末長く続けていきたい。
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