淡青手帳

第858号(2002年4月25日号)

 円周率とは円周と直径の長さの比の値のこと。ギリシャ語で「周」という意味を持つ単語の頭文字πで代用されるが、その値は3・14159…という数値である。

昔からこの正確な値を求めようと多くの人々が試みてきたが、既に紀元前三世紀にはアルキメデスが円に内接・外接する正九十六角形を用いて小数点以下三桁まで正確に求めている。現在では無限級数を用いた公式で計算するものが一般的で、一九九九年には情報基盤センターの金田康正教授らが二千億桁を超える記録を打ち出している。しかし円周率は超越数であり、どこまで計算しても正確な値にたどりつけないこともわかっている。

小学校で円周率が3として教えられるようになるという話もあった。しかしそれは間違いらしく、今年から施行された学習指導要領では「目的に応じて3を用いて処理」することとされている。何億桁という計算が無意味とは言わないが、実用上は3としても十分ということか。

今年の本学入試問題に「…の体積は10を超えないことを示せ」という問題があった。体積を求めると19π/6であり、πを上から3・15で抑えて評価するだけだが、これを「目的に応じて3・14を用いて処理」できてほしいというメッセージだと受け取るのは深読みのしすぎだろうか。

858号記事一覧へ