淡青手帳

第882号(2003年2月25日号)

 毎年父に贈り続けていたチョコを、今年はバレンタインデーまでに買いそびれてしまった。三日過ぎてから安売りしているであろうものを買いに行くと、既にその盛り上がりは消え去り、ひな祭りやホワイトデーの雰囲気さえも漂っていて、変わり身の早さにあきれる反面、かえって引き際の潔さを感じた。

 一度機会を逃せば、次にそれがやってくるのは、カレンダー上なら一年後、事によっては何年も回り道、もしくはもう二度とやってこないかもしれない。しかも次の機会には、前回と事情が違う可能性も充分ありうる。来年は特大のハートのチョコを準備したとしても、今年中に父が太りすぎて、ドクターストップがかかり食べられないかもしれないのだ…! その時を逃さず、ふさわしい行動をするからこそ未練も残さず潔く、次の行動に移れるというものではないだろうか。

 先日卒論を無事書き終えた。長く通った大学を卒業するのは正直寂しい。入学前にこれだけはぜひと考えていたことのどれだけを、実際成し遂げることができただろうか。だがそれは、これから新しくやり直す覚悟があればそれでいいのかもしれない。この、次に向かう前向きな気持ちが、その時々にふさわしい自己であろうと努力してきた大学生活の結実だと信じている。

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