第889号(2003年5月15日号) |
先日、母の日のプレゼントを買いに出かけた。小さい頃、手書きの「肩叩き券」や「お手伝い券」を贈っていたのを思い出す。ここ数年は、いつも姉とお金を半分ずつ出し合って贈るようにしている。二人掛かりでもあまりお金をかけたものは贈れないが、気持ちと思って毎年プレゼントは欠かしたことがない。当日に間に合うことはめったにないが。 「母の日」発祥の地はアメリカである。母親を亡くした女性が、自分の母親の命日を教会で母の日として祝ったのが始まりで、この日が5月9日、つまり5月の第2日曜日だったのだ。その後、1914年にウィルソン大統領の提唱で、議会で正式に5月の第2日曜日が国民の祝日「母の日」として制定され、世界各地に広まっていった。日本に一般的に普及したのは、第二次世界大戦後からと言われている。 東京に来て3年。月並みだが、離れてみて改めて親の有難さをひしひしと感じる。しかし、その気持ちを素直に伝えるのは簡単ではない。愛情を素直に表現するのが苦手な日本人にとって、母の日はこの上ないチャンスだ。「母の日」という魔法にかかって、普段ならとても言わないような優しい一言がこぼれる。今年もプレゼントは当日に間に合わない。そうだ、電話をかけてみようかな。
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