第894号(2003年7月15日号) |
7月の東京は梅雨前線の停滞によりはっきりしない天気が続いている。梅雨は世界の中でも東アジアに特有の気象である。西日本では、この時期の降水量が一年間の降水量の3分の1を占めている。梅雨空に気持ちも沈むと思わず、恵みの雨に感謝すべきだろう。 今年の3月16日から23日には、京都・滋賀・大阪で第3回世界水フォーラムが開催された。世界各国から2万4000人以上が参加し、十分な水の供給と衛生管理、適切な水統治などが議論され、最終日には閣僚宣言もなされた。21世紀は水の世紀だと言われるが、未だに20世紀の遺恨が再燃する国際情勢のなかで、地球規模の水資源の重要性が共有され、行動指針に基づく歩みが踏み出されたことは歴史に記憶されるだろう。 昨今の日本では、都会だけでなく地方においても土壌・地下水の汚染が顕著になってきており、飲料水は買うものという意識が定着してきている。エネルギー資源も食料も、その多くを海外に依存する日本は、水資源をも依存するようになるのだろうか。 水環境や水資源をめぐる安全保障に関する危機意識を国際関係のなかで正確に捉え、汚染の浄化技術の開発などもさることながら、汚染構造を克服した新しい社会システムの構築が求められている。
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