医科学研究所
●解説● 日本での遺伝子治療の臨床応用は昨年八月、北海道大で始まった。ここでは、生命維持に欠かせない酵素の一種が先天的につくれないまれな病気が対象だったが、遺伝子治療の本命は「がんの克服」とみられている。 遺伝子治療で先行する米国では、この傾向が顕著だ。一九九五年までに米国立衛生研究所(NIH)の組換えDNA諮問委員会(RAC)で承認された治療計画は百十二件。内訳を見ると、圧倒的に多いのはがんで七十一件あり、全体の六三%を占める。 がんについてはメラーマ(悪性黒色しゅ)、腎臓がん、肺がん、大腸がん、脳しゅようなど、ほとんどあらゆる種類が対象になっている。そのほか遺伝病が二十四件、エイズが十四件など。 研究の対象になっているのがはバイオ関連のベンチャー企業だ。北大の場合、本学医科研も基本的には米ソマティックス・セラピー社が開発した技術に依存している。 本学で患者から採取されたがん細胞は米国に送られ、遺伝子導入や安全性チェックを済ませた後、日本に返送。日本ではがん細胞の採取と、遺伝子導入後の細胞を患者に戻すステップだけを担当する。このため、国内で治療用の遺伝子を組み込むのに使うベクターの開発、安全性チェックなどができる体制をどうつくるかが課題。 |
国家公務員T種試験
|ホームへ戻る|