1996年8月25日発行 第689号

映画案内

宮澤賢治−その愛−

 この秋、宮沢賢治聖誕百念を記念した、宮沢賢治自信とその人生に迫る感動大作『宮沢賢治−その愛−』が公開される。
 宮沢賢治の人生は、全ての人々の幸福を願う道であり、自然を心から愛する精神に貫かれたものであったが、愛に苦悩した生涯でもあった。質・古着商の長男として生まれた賢治は、高い理想実現の道を歩みはじめ、家業になじめず、父・政次郎との間に葛が生じる。文才にも恵まれいた賢治は、冷害に苦しみ農民たちのために研究を続けながら詩や童話の創作に励みましたが、父との距離は広がるばかりで、賢治の苦悩はいっそう深いものになってゆく。
 もがき苦しむ賢治の唯一の理解者は妹のトシで、賢治は肺結核にかかったトシに深い愛情をそそぐが、献身的看護も空しくトシは他界してしまう。
 敬愛する父と子ゆえの相克。最愛の妹とは死別。貧しい農民への愛も報われることは少なかった賢治。それでもなお、純粋な心を悩ませながら、人々の幸せを願い孤独な愛の戦いを続けた賢治の人生とは、混迷する現代に生きる日本にとって大きな道しるべであり、深い感銘と感動をよぶ。
 映画化にあたり、大ヒット感動作『ハチ公物語』『遠き落日』を生んだ、製作・奥山和由、脚本・新藤兼人、監督・神山征二郎が三たびスクラムを組み、“日本人の魂を描く三部作”の完結篇として位置付けて製作をスタートさせた。
 キャストは、宮沢賢治に三上博史、父・政次郎に仲代達矢、妹トシに酒井美紀、母・イチに八千草薫、そして、賢治に想いを寄せる女性高瀬露に牧瀬里穂、伊藤チエに中山忍と魅力的布陣で、“感動”の宮沢賢治を描く。
(9月14日全国松竹系にてロードショー)

マルチメディア米国の旅(24)

麗澤大学教授 浦山重郎

(3)セキュリティと課金システム

マルチメディアとゲーム機ソフト
九四年末、次世代ゲーム機戦国時代勃発

T、はじめに

1.セガサターン登場

 一九九四年も終わりになろうとする、十一月二十二日、一つのゲーム機が華々しくデビューした。「セガサターン」(四万四千八百円)(以下、SSと呼ぶ)である。既にマシンの形などは発表されていたため、衝撃はそんなには受けなかったが、TVCMでは頭の尖った土星人が、土星からサターンなるものを自転車(!)で運んでいるという設定は十分楽しめる、期待の出来るものであった。この日ハードと同時には発売されたソフトは四本。その中にはアーケードゲームで大人気の「バーチャファイター」というゲームがあった。このソフトこそ、セガがこのゲーム機を「売る」ためのものであった。サターンは標準小売価格が四四、八〇〇円という高価な機械だ。今までのゲーム機ではどんなに高くても二万五千円が限度であって、それ以上価格を高くする事は、無謀としかいいようがなかった。当然目玉のゲームを出さない限り売れるはずが無い。32ビットのCPUを二つも使ったこのゲーム機は、それぐらいの価値があった。当日は予定されていた十万台があっという間に売れてしまったという。
   ◆    ◆
 十二月三日、サターンと同じころから、TVCMを行っていたあるゲーム機が発売された。SCE(ソニー・コンピュータエンタテイメント)の「プレイステーション」(三万九千八百円)(以下、PSと呼ぶ)である。「いち、にっ、さん、いち、にっ、さん」と十二月三日に発売すると言う事を唱えながらの

任天堂の独壇場
他企業も野望秘め参入

CMもインパクトがあった。当然、このゲーム機も目玉のソフトを用意していた。アーケードで人気のあったレーシングゲーム(車のゲーム)「リッジレーサー」がそれである。
   ◆    ◆
 九四年十二月九日に発売を予定していたNEC−HE(日本電気ホームエレクトロニクス)の「PC−FX」(四万九千八百円)は発売が延期され、十二月二十三日にやっとデビューとなた。これはPCエンジン(八七年十月発売)の上位機種に当たる。これも他のゲーム機と同様に、32ビットのCPUを使っているが、アニメ中心のソフト作りは他のゲーム機とは独自の路線を歩んでいる。NECのパソコンPC−98のCD−ROMとしてつなげるというのがほかのとは違うところである。
 これらの動きに対し、今までゲーム市場をほぼ牛耳ってきた任天堂は、スーパーファミコン対応の“スーパードンキーコング”というソフトを、サターン発売の四日後の十一月二十六日に発売し、次世代のゲームを牽制した。どの会社も年末商戦に合わせて話題作を発売するが、この場合、「次世代機を買うより、いまあるスーファミいくらか投資すれば、次世代機に負けない良いゲームが楽しめますよ」というメッセージが込められていた。任天堂らしい、上手なマーケティングである。このソフトは、以前から存在した代表的な任天堂のキャラクターの一人(一匹)が、画面を所狭しと暴れまくる、痛快なアクションゲームで、画面は、次世代ゲームも霞むような今までにない美しさがある。次世代機発売の同時期に任天堂はあえて従来のゲーム機であるスーファミで勝負に出たのだ。

2.なぜ今、テレビ
  ゲームなのか

 では、どうしてこの時期にしかも、ソニーというゲーム業界に縁のなかった企業がこの業界にあえて今、任天堂という大きな相手に勝負を挑むのであろうか? 答は簡単である。現在、家庭用ゲーム機・ゲームソフトの市場規模は、余暇開発センターの調べによると六千五百五十億円(九三年)という大きなものであるからだ。しかしこれだけの理由であろうか。否。確かにこのマーケットはとても魅力的だが、これは国内に数百社あるソフトメーカーの売上高を含めてのものである。しかも、日本のゲーム市場は任天堂の独壇場で、この牙城を崩すのは容易ではない。一見利のない市場拡大を見据えているからだ。この二つの企業よりも半年以上前に「3DO REAL」(四万四千八百円〜五万四千八百円)(以下リアルと呼ぶ)という製品を発売した松下電器産業は、「単にゲームだけならば、松下はこの市場に参入しなかった。リアルは極めて幅広い可能性を秘めたマルチメディア機だ」と明言している。この市場の参入ブームで、日本の多くの企業が第二の任天堂になるべく様々な野望を秘めている。
       (つづく)
     (S32法・卒)

(注)

アーケード:ゲームセンター。アメリカではこのように言うが、アメリカのゲーセンに全てアーケード(屋根)があるかは定かではない。

バーチャファイター:3Dポリゴンを使った格闘技ゲーム。三次元の映像と、シンプルだがリアリティのある操作が特徴。ストリートファイター(カブコン)の後に出たが立体的な画面(ポリゴン→第三章で詳しく説明)で大人気になる。ストーリートーも子供達が多くの金をつぎ込んだゲームだったが、バーチャーもそれと同じくらい百円玉を多く消費するゲームだった。ストリートーの上級者用と思ってくれて間違いはないと思う。バーチャファイター2はもっとすごい(第三章以降で詳しく説明)。

セガ:業務用テレビゲーム機のメーカー。今では最大手。もとは外資系の企業だった。一九五一年設立。CSK(ソフトウエア・システム開発を中心とした情報処理サービスの最大手企業)の傘下。{{>F31<}}\\Service Games\\{{>F32<}}の略がSEGAである。

CD−ROM:音楽用CDと同じ形をしているが、フロッピーディスク五百四十枚分の記憶容量を持つ。CDと同じく録音はできない。だからROM({{>F31<}}\\Read Only Memory\\{{>F32<}})という。大容量・低コストのため人気がある。

32ビット:コンピュータで扱うデータの最小の単位。二進数の略。コンピュータの性能の階級を表す数字。8ビット、16ビット、32ビットと倍々で増えていく。24ビットとか48ビットというコンピュータは存在しない。

CPU(中央処理装置):人間でいえば脳、車でいえばエンジンのこと。エンジンのない車は動かないように、CPUのないコンピュータは動かない。CPUの性能によってコンピュータの速さが決まるのは車のそれと同じである。

SCE(ソニーコンピュータエンタテイメント):言わずと知れたAV機器の最大手企業であるソニーと音楽を中心としたソフトビジネスの覇者ソニー・ミュージックエンタテイメントとの共同出資会社。

NEC−HE(日本電気ホームエレクトロニクス):パソコンのトップメーカー・日本電気の系列会社。一九五三年、ラジオ事業部から独立して、その名の通り家庭用電化製品に重点を置く。NEC本社ビルとは別。未上場。

PC−エンジン・コア(核)思想:このゲーム機を中心に様々な機器を取り付けることができるという考え(しかし、様々な機種が出てしまったため、中途半端に終わった)を元に作られたゲーム機。8ビットから16ビットへとゲーム機が移行している時期に、あえて8ビットで登場した。もとはカード式のゲームで、どこよりも早くCD−ROMを導入した。8ビットの割には出たばかりのスーパーファミコンよりも早く、マニアには人気があった。

3DO・米国3DO社:エレクトロニックアーツ、AT&T、タイムワーナーなど米国の有力企業が出資して設立された会社。ビデオのVHSのようなCD−ROM統一規格を目指している。 マルチメディア:複合の媒体。簡単にいえばコンピュータ上でテレビや電話、CDが聴けたりすること。多くの意味をもっているので、定義が難しい。

16ビット:32ビットの欄を参照。

インフラ:正式にはインフラストラクチャーという。経済活動を支える基盤施設。社会資本とほとんど同義に使用される。

赤門クロスワード NO.24

 今回もオーソドックスな問題です。読者の皆さん、頑張って兆戦してみて下さい。クロスが完成したら、二重マスメの文字をABCDの順に並べると、ある地名が出てきます。それが今回の答です。(出題/S・T)

タテのカギ
@暑い夏の食べ物と言ったらこれ
A――を開けると、そこはあなたの知らない世界へ…
Bこれから、――の歴史に従軍慰安婦の問題が出てくる
Cブタの内蔵を焼いたもの
F日本工業規格の製造規格に合格した製品につける印
Hひとりでいること。――無援
Iその場にいなかったという証明
L南米の国ペルーの首都
M最近は、東大でも――主義的な風潮が感じられる

ヨコのカギ
@夏休みには、――ムシを集めませんでしたか
D夏は、仕事の帰りに…いいですね!
E「――対モスラ」という映画がありましたね
G雌←→
H「つぶあん」と――、どちらが好きですか
J利息の、元金などに対する割合
K魚を釣るための針
N寝る時に使うもの
O宴会で舞を舞う少女

出題者のコメント:皆さんの考えた問題を応募して下さい。
掲載された方には、豪華賞品を差し上げます!


応募方法

誰でも応募できます。
下記のフォーマットを切り取り、電子メールで下記のアドレスまで送って下さい。

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締め切りは9月12日(木)です。

プレゼント

正解者の中から抽選で10名の皆さんに、「東京大学記念グッズ」をプレゼントします。当選者の発表は、賞品の発送をもって替えさせていただきます。どんどんご応募下さい。

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