Soccer新世紀 vol.7

第832号(2001年5月25日号)

 イタリアで開かれた90年のW杯。2連覇を狙うアルゼンチンは初戦のカメルーン戦、まさかの黒星で苦戦を強いられながらも、決勝トーナメントでブラジルを破るなど勝負強さを見せ、決勝に進出。相手は前評判どおりの圧倒的な強さで勝ち上がった闘将マテウス率いる西ドイツ。2大会連続で同じ対戦となった決勝戦は1−0で西ドイツが勝利し、前回と逆の結果となった。
 1994年W杯はサッカー不毛の地、アメリカで行われた。70年大会以来、毎回優勝候補に挙げられながらも結果を残せなかったサッカー王国ブラジル。本大会はロマーリオがベベットと強力な2トップを組み順当に勝ち進んだ。どちらが勝ってもW杯史上最多の4度目の優勝となるイタリアとの決勝戦。両者延長まで闘って1点も入らず、PKでブラジルに勝利の女神が微笑んだ。
 1998年には、20世紀最後のW杯がフランスで開かれた。優れた育成システムから生まれた集団的なサッカーで、開催国のフランスがW杯史上7番目の優勝国となった。決勝ではジダンが2得点を決め、フランスが3−0でブラジルに大勝した。日本も悲願の初出場を遂げたが、3戦全敗という強烈な洗礼を受けた。本大会での日本の得点は、中山のジャマイカ戦での1点のみであった。
 90年代半ば、これまで選手として成長してからヨーロッパに渡ることが多かったブラジル選手も、若いうちにヨーロッパに移籍するようになり、ヨーロッパ的な戦術を身につけた新感覚の選手が数多く生まれた。その典型がロマーリオやロナウドだ。同様に、アフリカの選手もヨーロッパに渡って戦術的な訓練を受けることによって、1980年代からのアフリカの躍進が加速した。1990年のイタリア大会でカメルーンがベスト8入り、1994年、98年にはナイジェリアが決勝トーナメントに進み、96年のアトランタオリンピックでは優勝を飾る。
 90年代のW杯、20世紀のW杯を終え、世界の国々は2002年の日韓共同開催に向かう。21世紀の初めてのW杯に…。


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