878号(2002年12月25日号)

1面主要記事

■日本の将来に悲観的

将来に対しては楽観傾向も
2001年学生生活実態調査

 2001年(第51回)学生生活実態調査の結果が12日、公表された。この調査は本学学生生活実態調査委員が毎年行っているもので、今年は生活費や住居、学生生活の満足度などに加え、特殊分析として社会観に関する調査も行われた。その結果、日本社会の現状に対して悲観的な評価をする学生が多いが、将来については楽観的に評価する人が増えつつあることなどが明らかになった。

 今回の調査は昨年10月から12月にかけて抽出率8分の1で無作為に選ばれた本学の学部学生1900人を対象に行われ、回答数は942人(回収率49.6%)だった。
 調査結果によると、出身高校は「中高一貫型の私立」が49.2%と約半数をしめ、「公立」は37.9%であった。また学校外での学習は「塾(家庭教師を含む)に行っていない」人が高校1、2年生では61.8%、3年生では46.2%だった。家庭での平均学習時間は1、2年生では37.5%の人が1時間未満、7割を越える人が2時間未満であったのに対し、3年生では2時間以上3時間未満と答えた人が31.8%と最も多く、2時間未満と答えた人は全体の約4分の1であった。一方、1、2年生次に部活動や生徒会活動をしていた人は75.9%で、1、2年次には勉強よりも部活動などに力を入れていた学生が多かったことが明らかになった。
 カリキュラムについては、現在のカリキュラムに総じて満足していると答えた人は43.6%で、総じて不満と回答した学生(32.8%)を10%強上回った。一方、カリキュラムの消化が「多少困難」「できない」と回答した人は全体の22.5%で、その原因としては「授業の内容が高すぎて理解できない科目がある」「授業に対する自分の意欲や努力が足りない」などを挙げた人が多かった。
 今回の調査で特殊分析として取り上げられた社会観に関する調査では、地方分権や食料自給率向上については積極的に進めるべきであると答えた人が多かったのに対し、人間の生命操作(クローン・遺伝子操作)は積極的に進めるべきではないと答えた人が多かった。また日本社会について「自分の欲望や利益しか考えない人が増えている」と思う人の割合が高く、「国民の声が政治に反映されている」と思う人は少なかった。全体として現在の日本社会が「悪い」と答えた人は45.0%であり、「良い」と答えた人(29.1%)を大きく上回った。また日本の将来の見通しについても「悪くなる」と答えた人(45.3%)が「良くなる」(18.1%)を上回ったが、1997年調査時(「良くなる」12.2%、「悪くなる」50.4%)に比べ、楽観的に評価する人が増え始めていることが明らかになった。


■5年ぶり対立選挙に

 投票率は低迷
 教養学部自治会選挙

 教養学部学生自治会・第106期自治会正副委員長選挙の投票が19日までに行われ、20日に開票作業が行われた。
 今回の選挙は正委員長に二人が立候補し、97年の第96期以来5年ぶりの対立選挙となった。また副委員長は立候補者が一人だったため、信任投票となった。
 20日に行われた開票の結果、正委員長に藤田智久君が、副委員長には平塚順君が選ばれた。
 総投票数は2145と全学生の3分の1程度であり、5年ぶりの決選投票であったにも関わらず学生の関心は低かったようだ。

◎正委員長
藤田智久(選対クラスの声)1214票
佐藤帯刀(大本営選対帯刀本部)640票
白票272票
無効19票

◎副委員長
平塚順(選対クラスの声)信任投票
信任1546票
不信任418票
白票162票
無効19票


■精子の成長に必須のたんぱく質発見

 医学系研究科 廣川信隆教授ら

 本学医学系研究科の廣川信隆教授らの研究グループは、精子の成長に不可欠なたんぱく質を発見したと発表した。
 精子は精母細胞と呼ばれる細胞が精巣の中で成熟することで作られる。廣川教授らはこの過程で働くたんぱく質をマウスから発見した。このたんぱく質の働きを薬剤を使って抑えると、精母細胞の成熟が止まり、薬剤の働きを抑えると精母細胞の成熟は再開した。このたんぱく質が他の臓器や器官には存在していないことも確認された。
 このたんぱく質は人間にも存在すると見られており、不妊の原因解明や避妊薬の開発につながると考えられる。この成果は20日発行の科学誌「サイエンス」に掲載された。


■本学留学生が奨学金を不正受給
 日本政府の国費留学生として本学に在籍していた韓国人の女子留学生が、日本に滞在していない期間も奨学金の支給を受けていたことがわかり、文部科学省が約130万円を返還させていたことが21日、分かった。同省は「指導監督がずさん」として本学を口頭で厳重注意するとともに、全国立大学に国費留学生の在籍確認を徹底するよう指導した。この留学生は98年10月に医学系研究科研究生として入学したが、2000年4月に博士課程に進学後は日本にいない期間が長くなり、今年6月に自主退学した。

■新年度政府予算、スーパーカミオカンデ補修費に約22億円計上
 政府が20日内示した新年度予算の財務省原案で、昨年11月に光電子増倍管が破損した宇宙線研究所附属施設「スーパーカミオカンデ」の補修・研究費として22億5500万円が盛り込まれた。スーパーカミオカンデは破損していない増倍管約5200本を用いて今月から実験を部分再開しているが、来年度予算に補修費も盛り込まれたことから、早期の全面復旧を図るという。



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