888号(2003年5月5日号)

1面主要記事

■理学の面白さ共有

「基礎科学の地平線」
理学部公開講演会

 理学系研究科・理学部の第3回公開講演会が4月25日、18時より弥生講堂で行われた。この講演会は、昨年度から理学系研究科・理学部について広く社会に情報発信することを目的に行われているもの。今回は「基礎科学の地平線」をサブタイトルに、茅根創助教授と松井孝典教授が講演を行った。

 講演会では、最初に岡村定矩理学系研究科長・理学部長が挨拶を行った。その中で岡村研究科長は「この講演会は理学の面白さを社会と共有することを目的として今後も定期的に行いたい」と講演会の意義を語った。
 続いて地球惑星科学専攻の茅根創助教授が「サンゴは警告する」と題した講演を行った。 その中で茅根助教授は、1980年代以降サンゴの白化が多く報告されるようになり、地球温暖化によって生態系が大きなダメージを受けていることを示した。同時に白化は実はサンゴが新たな環境に適用するプロセスであるとの見解を示し、生物の持つこのような適応力を促進する手立てを考える必要があるとまとめた。
 その後、新領域創成科学研究科・理学系研究科の松井孝典教授が「宇宙から探る生命の起源と進化――アストロバイオロジーとは」と題して講演を行った。その中で松井教授は、アストロバイオロジーを「生命の起源と進化に関わるあらゆる問題を天文学、地球惑星科学から生物学まで分野横断的に総合的に解明しようとする学問的試みにつけられた名称である」と説明し、その研究目標や実際の研究テーマなどについて語った。(3面に2人の講演要旨を掲載)
 講演後には質疑応答の時間もとられ、聴衆を交え活発な議論が行われていた。


■基本計画案まとめる

 男女共同参画

 本学男女共同参画推進委員会(委員長:仁貝田香門副学長)は、今年度中頃を目途に策定予定の男女共同参画基本計画案の骨子をまとめ、公表した。6月15日までの期間にこの案に対する意見を募集し、それらを反映させて最終案をまとめる方針だという。
 今回公表された骨子は、男女共同参画基本計画案の@基本理念、A基本方針、B現状把握、C基本方策についてで、これらのうちBを除く部分に対する意見を募集している。
 骨子によれば、基本理念としては男女共同参画社会基本法の精神を基に、個人が性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮できるアカデミックコミュニティを実現することとしている。またそのための基本方針としては、均等な機会の確保、男女共同参画を阻害する要因の除去、方針の立案決定への男女共同参画、男女共同参画を推進する教育・学習の充実、男女共同参画を推進する研究の充実を掲げている。具体的には女性志望者を増やすための取り組みやジェンダー関連授業の推進、公募制などにより女性教員の増加を図ることなどが挙げられている。
 また16日には安田講堂で、男女共同参画推進委員会メンバーとの意見交換会の場がもたれる。骨子の全文は
http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/soumu/jinji/sankaku/kosshi.htm
で見ることができる。


■小柴名誉教授は勲一等

 春の叙勲・褒章を発表

 政府は29日付けで春の叙勲受章者を発表し、その中で最高位の勲一等に昨年度ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊本学名誉教授が選ばれた。今回の受章は、素粒子物理学の研究で優れた業績を挙げ、学術の発展に貢献したことを評価されてのもの。
 これを受けて28日に安田講堂で記者会見が行われた。小柴名誉教授は今回の受章について「勲章をいただくのもうれしいが、また両陛下にお会いできるのがうれしい」と述べた。また基礎科学分野を応援するための財団設立の構想があることも明らかにした。
 本学関係者のその他の叙勲受章者は、勲2等に大石泰彦元経済学部長と嘉治元郎元教養学部長、勲3等には5人の本学元教授が選ばれている。
     

     

 また、28日付で発表された春の褒賞では、紫綬褒章に本学関係者五人が選ばれた。その中には、携帯電話などに使われる基本ソフト「TRON」を開発した坂村健教授や、前物性研究所長の福山敏秀教授などが名を連ねている。


■SARSに注意!

 対応示した勧告を交付

 重症急性呼吸器症候群(SARS)が猛威を振るう中、本学は、学生・教職員を対象にSARSへの対応を示した勧告を出した。
 SARSは38度以上の発熱や咳、息切れなどの呼吸器症状で発症する呼吸器疾患で、主な感染経路はSARS患者との接触によると考えられている。
 厚生労働省の勧告に従い、本学でも中国(広東省・山西省・北京・内モンゴル自治区)や香港特別行政区、シンガポール、ベトナム(ハノイ)、カナダ(トロント)などのSARS伝播確認地域への渡航を計画している場合には延期することを勧告するとともに、これらの地域から帰国した場合には、10日間は健康状態を観察するよう呼びかけている。
 また、SARSを疑う場合のチェックリストとして@38度以上の発熱、A呼吸器症状、B10日以内にSARS伝播確認地域への渡航またはSARS症例患者の看護など近距離で接した、を挙げ、これらすべてに該当する場合にはSARSの疑いがあるとしている。
 SARSの疑いがあると思われる場合には、保健センターに電話連絡の上、病院で診察を受けるよう呼びかけている。



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