913号(2004年3月25日号)

1面主要記事

■本郷に歓喜こだまする

  合格者数は2758人
  前期日程合格発表

 平成16年度本学入学試験の前期日程の合格発表が10日、本郷キャンパス総合図書館横で行われた。今年の前期日程試験の合格者数は2758人だった。

 当日は晴天に恵まれ、合格発表開始予定時刻一時間前の正午過ぎには、すでに多くの受験生や父兄、報道関係者、予備校関係者、運動部やサークルの部員らが集っていた。合格者の受験番号が掲示された掲示板が二台のトラックに載ってやってきて、掲示板が図書館横の特設掲示板に掛けられ始めると、会場は緊張した雰囲気に包まれた。
 12時50分頃、会場を仕切っていたロープが取り除かれると、待ちに待った受験生らは掲示板へと一目散に駆け出した。間もなくあちらこちらで恒例の胴上げが歓声とともに始まった。合格者は、家族や先輩から祝福を受け、喜びを体全体で表現する人や感極まって泣く人もいた。また自分の受験番号をバックに記念撮影をしたり、携帯電話で先生や友人らに合格を伝えたりする合格者の姿も見受けられた。 特設掲示板の左側に陣取った応援団の演舞は、会場の雰囲気をいっそう盛り上げていた。
 この日は同時に後期日程第一段階選抜の結果も発表された。その結果、前期日程試験合格者を除いた志願者3500人に対し、第一段階選抜に合格したのは1640人で、足切りを受けたのは1860人だった。前期日程の合格者の掲示板にに自分の番号を見つけられなかった受験生らは、後期に最後の望みを託すべく掲示板に目を凝らしていた。
 合格者の科類別成績は表の通り。前期の文科各類では最低点・平均点が上がったが、理科各類ではV類を除いて最低点・平均点が下がった。後期は、全科類で最高点・最低点・平均点が昨年を上回った。


■特許出願に迅速対応

  法人化後の戦略を語る

 「法人化後の産学連携と知的財産戦略」と題した本学産学連携推進室主催の第三回産学連携シンポジウムが4日、鉄門記念講堂(医学系研究科、教育研究棟14階)で開催された。法人化以後急増すると考えられる大学からの特許出願が円滑に行なわれるための本学の方針が紹介された。シンポジウムは、産学連携推進室・知的財産グループの三名の主幹による本学の戦略の講演と大阪大学・フロンティア研究機構の西村吉雄特任教授による招待講演の二部構成で行われた。
 知的財産グループは「東京大学の知的財産戦略」と題した講演を行った。大学で生まれた知的財産の「特許を受ける権利」を発明者個人から大学へ承継させることは、契約促進や訴訟対応等の点で有利であり、この作業を円滑に行うのが知的財産グループの役割であるという。承継やその直後の特許出願等の具体的な過程も紹介され、特に遅くとも四週間以内に承継の可否を完了させるという迅速な対応を目指す。
 西村教授は「出会いと交流の場としての大学」と題した講演を行い、特に企業の観点からの産学連携における大学への期待を論じた。西村教授は、未来で必要とされるものを調査・研究し、かつ開発することが利潤を生み出すために重要であるにもかかわらず、現在の株主への対応責任やインターネット環境の普及により、企業においてこの未来に関する作業は困難かつ非効率であることを指摘した。したがって企業が今後この研究等の作業を外部に委託する傾向が強まると予想され、その担い手として、様々な人の交流を本来の機能とし、未来の考察を行ないやすい大学が期待されていると述べた。


■天水田の生産性向上へ

  タイでの開発研究を報告
  国際シンポ

 国際シンポジウム「タイ天水田での現場に沿った農業技術開発のためのアグロのミー研究」が、2004年3月19日、農学部弥生講堂一条ホールにて開かれた。講演者として、タイから天水田のアグロノミスト二人、フィリピンから国際イネ研究所の社会科学者、日本国際農林水産業研究センターのプロジェクトリーダー二人が招かれた。最初に、本学農学生命科学研究科附属農場長の坂齊教授から趣旨説明がなされた後、それぞれの立場からの研究の報告がなされた。各講演の後、講演者と会場に集まった人々の間で活発な意見交換が行われた。
 “天水田”とは、降水のみを利用して行われる水田を意味する。天水農業地帯では、作物の利用可能な水の量は、降水パターンによる変動が大きく、収量を制限する要因となる。近い将来、世界的な水資源不足が危惧されるなか、用水を多量に必要とする灌漑水田の効率的活用とともに、天水田地域における低い生産性の向上は緊急の課題である。このような観点のもと、本シンポジウムではタイの東北部にある天水田をモデルとして、主催者の東京大学農学生命科学研究科附属農場・タイ研究交流グループが2002年から行っている研究活動の一端が報告されるとともに、現場に沿う農業研究開発を目指して行われている農民参加型の農学研究プロジェクトが紹介された。


■9件10人が受賞

  日本学士院賞

 日本学士院は12日、優れた学術研究を顕彰する2004年度の日本学士院賞を9件10人に贈ることを決めた。
 受賞者で本学関係者と受賞対象の研究は次の通り。安元健(やすもと・たけし)科学技術振興機構沖縄県地域結集型共同研究事業研究統括、東北大名誉教授、本学農学博士(六九)=「海洋生物毒の科学とそれらの毒物の海洋生態系における動態解析」、中村隆英(なかむら・たかふさ)本学名誉教授(七八)=「A History of Showa Japan, 1926-1989」、金森博雄(かなもり・ひろお)米カリフォルニア工科大地震研究所教授、元本学地震研究所教授(六七)=「地震発生機構の物理的解明についての研究」、藤嶋昭(ふじしま・あきら)神奈川科学技術アカデミー理事長、本学名誉教授(六二)=「半導体光触媒反応の研究」、月田承一郎(つきた・しょういちろう)京都大大学院医学研究科教授、元本学医学部講師(五〇)=「上皮細胞間バリアーの分子基盤の解明」、野本明男(のもと・あきお)本学大学院医学系研究科教授(五七)=「ポリオウイスルの複製と病原性の研究」。
 安元健氏には恩賜賞も併せて贈る。

恩賜賞・日本学士院賞

安元健(やすもと・たけし)
科学技術振興機構沖縄県地域結集型共同研究事業研究統括
東北大名誉教授(69)
1966年本学農学博士号授与。
海洋生物毒の科学とそれらの毒物の海洋生態系における動態解析

日本学士院賞

中村隆英(なかむら・たかふさ)
本学名誉教授(78)
A History of Showa Japan, 1926-1989

金森博雄(かなもり・ひろお)
米カリフォルニア工科大地震研究所教授(67)
元本学地震研究所教授
地震発生機構の物理的解明についての研究

藤嶋昭(ふじしま・あきら)
神奈川科学技術アカデミー理事長、本学名誉教授(62)
半導体光触媒反応の研究

月田承一郎(つきた・しょういちろう)
京都大大学院医学研究科教授(50)
元本学医学部講師
上皮細胞間バリアーの分子基盤の解明

野本明男(のもと・あきお)
本学大学院医学系研究科教授(57)
ポリオウイスルの複製と病原性の研究


■Newsホットライン

  • 本学工学系研究科の阿部雅人助教授が男子大学院生に対して暴力を繰り返していた問題で、本学は16日、阿部助教授を懲戒免職処分にした。

  • 早稲田大生らのイベントサークル「スーパーフリー」(解散)のメンバーによる集団強姦事件で、本学は17日、準強姦罪で起訴された農学部3年高山知幸被告を退学処分にした。



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