919号(2004年5月25日号)

1面主要記事

■市民に身近な司法を

  亀井氏・高橋氏が講演
  司法制度改革

 法科大学院開院を記念した連続講演会「司法制度改革のゆくえ」の第5回が20日、法文二号館31番教室で行われた。今回は「身近な裁判を目指して―司法が変わる・司法で変わる」という副題で、亀井時子弁護士と、高橋宏志本学法学政治学研究科教授が講演を行った。

 まず、亀井時子弁護士が「市民のための司法」というタイトルで講演を行った。亀井氏は初めに「司法は市民に縁遠い」「法曹の人口が少ない」「行政中心で司法は脇役」などの現状を述べた。
 また、司法を誰にとっても手を伸ばせば届く存在にすることを目指す「司法ネット構想」が登場し、今年の5月末にはこの構想をもとに「総合法律支援法」が成立し、「日本司法支援センター」が新設されることを紹介した。
 「日本司法支援センター」は、法律相談所がネットワークを組み市民に対して適切な情報提供することや、地方に弁護士が少ないために、地方の法律相談に対応できない現状などを解決することが役割であると述べた。
 また、現在の小中学校の教育では、裁判の具体的な様子などが分からないと指摘し、子供の頃から裁判は生活に密着したものであることを理解させるような教育にしていくべきだと述べた。
 続いて高橋宏志本学法学政治学研究科教授が、「裁判の時間と費用」というタイトルで講演を行った。高橋教授は、日本の裁判は遅いという印象を持たれているが、諸外国のデータと比較して特に遅くはないと述べ、速さばかりに目が行き、適切な判決がなされない可能性もあると指摘した。
 また、民事裁判での訴訟費用は負けた側が負担することになっているが、民事裁判は負けたからといって過失があるとは言えないことも多く、原告と被告が半分ずつ負担するべきだと述べた。


■新入生に研究成果を披露

  人間をテーマに3氏語る
  新入生歓迎シンポ

 本学大学院総合文化研究科・教養学部は14日、駒場キャンパスアドミニストレーション棟学際交流ホールで、新入生歓迎シンポジウム「21世紀COEと教養教育」を行った。このシンポジウムは教養学部で活動している三つのCOE(Center of Excellence:卓越した世界的研究拠点)プロジェクトの最新の研究成果を新入生に紹介するもの。
 テーマは、『人間とはなにか?どう作られているのか?―細胞・類人猿・自我―」。シンポジウムではまず、本学教養学部の浅島誠学部長ら三人のパネリストの研究成果が紹介された。その中で本学大学院総合文化研究科で言語情報科学専攻の長谷川寿一教授は、「心とことば―進化認知科学的展開」と題して語った。「人間とはなにか?」という問いに対して、長谷川教授は、現代社会の課題に対処できる“統合人間科学”を構築するという自らの研究目的をあげて説明した。長谷川教授は、「人は特別な霊長類ではなく、人とチンパンジーは進化の隣人である」と語り、霊長類としての人、動物としての人という視点が必要であることを語った。また生物人類学の見解から、人種間の遺伝的相違はほとんどないが、文化は多様であるため、人間の普遍性と文化の多様性の両面から人間を再考することが必要と述べた。
 会場は立見も出る盛況ぶりで、講演者の話に熱心に耳を傾けていた。講演会終了後は懇親会も行われ、講演者と学生が交流する場が持たれ、学生が講演者に質問する風景も見られた。  


■立大に勝ち点献上

  東京六大学野球

 東京六大学野球春季リーグ戦第七週の対戦が二十二日から神宮球場で行われた。東大は立大と対戦し、先勝したものの結局一勝二敗で立大に勝ち点を献上した。東大は春季リーグ戦の全日程を終えて三勝九敗勝ち点0で13季連続の最下位だったが九六年秋以来の一シーズン三勝を挙げた。
 一回戦、1点差を追う七回、東大は無死から藤熊が二塁打で出塁、一死三塁とした後有馬の適時打で同点に追いつき、二死後荻田の二塁打で逆転。先発の松家が立大を4安打2失点に抑えて完投勝利で今季2勝目を挙げた。立大は三回に一度はリードしたが小林が七回に逆転を許し打線も元気なく敗れた。
 二回戦、東大は立大の大川、日野の継投で振り切られ一勝一敗のタイに。立大は一回高橋泰の適時打で先制すると四回には荒井、七回には高橋泰、多幡の適時打で2点を追加した。東大は八回に押し出しと升岡の適時打で2点差まで詰め寄ったが立大二番手日野にかわされた。
 三回戦、立大が16安打で16得点をあげ大勝、勝ち点を3として3位以上を確定させた。三回立大は一死から三連打で満塁とし比嘉が右中間に走者一掃の適時三塁打で3点を先制、その後も得点を重ねこの回打者17人を送る猛攻で10安打13点を一気にあげ、試合を決定づけた。一回戦で完投勝ちした東大の松家は三回に連打を浴び9失点で降板、東大は投手陣が崩れて完敗した。

◇ 一回戦(5月22日)
東大
 010000200|3
 002000000|2
立大
  松家(2勝4敗)
  小林(4勝3敗)

◇ 二回戦(5月23日)
立大
 100101200|5
 000100020|3
東大
  大川(2勝1敗)
  高橋(2敗)

◇ 三回戦(5月24日)
東大
 000000010|1
 0013100020×|16
立大
  小林(5勝3敗)
  松家(2勝5敗)


■光触媒シートを共同開発へ

  本学先端研と東洋ケース

 本学先端科学技術研究センターの橋本和仁教授らは東洋ケース(京都市右京区、吉川弘社長)と、光触媒シートを利用した家庭用の脱臭製品を共同開発することで合意した。
 この製品は太陽光に当てることで吸着剤に吸着したにおい成分を分解、繰り返して使えるのが特徴。土壌浄化用に開発したシートを初めて家庭用に応用するもの。
 光触媒シートは、酸化チタン光触媒を利用して揮発性有機化合物(VOC)に汚染された土壌の無害化を目的に開発した。
 東洋ケースが商品化を目指す家庭用脱臭製品は、光触媒でにおい成分を分解し繰り返し使えるほか、面で吸着するため脱臭効果が高いなどの特徴がある。



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