839号(2001年9月5日号)

1面主要記事

■受精の仕組み解明

助細胞が誘引物質を分泌
理学系研究科東山哲也助手ら

 本学理学系研究科の東山哲也助手らは、植物の雌しべに受粉した花粉が管を伸ばして、卵細胞と受精する仕組みを明らかにした。受精に至る細かい仕組みは、卵細胞が雌しべの奥にあるため、これまでは十分に分かっていなかった。今回、基本的な仕組みが解明されたことで、将来の品種改良にもつながると期待される。

 被子植物では、雌しべの先端に花粉がつくと、花粉管が胚のうに到達し受精が起こることは、1898年にロシアの植物学者、セルギウス・ナバシンが発見していた。しかし、被子植物では種子の皮になる組織が胚のうを包み込んでおり、たくさんあるどの細胞に花粉が付着するのかわかっていなかった。
 東山助手らは、胚のうの一部が皮の部分から露出していて観察しやすい「トレニア」(ゴマノハグサ科)を用い、受粉した雌しべの先端と胚のうを含む種子になる部分を一緒に培養し、体外受精する様子を観察した。
 花粉から伸びる花粉管は通常、胚のうに正確に導かれるが、卵細胞の隣にある助細胞をレーザー光で破壊するとこの誘引がなくなり、助細胞が何らかの誘引物質を分泌していることがわかった。また、受精の瞬間を初めて画像でとらえることにも成功した。
 種が違う植物間で受粉しても種子ができないのは、この誘引物質が違うために受精に至らないことが一因と考えられる。今後、誘引物質の正体が明らかになれば、自然では起きないような異種交配も可能だと期待されている。


■平成14年度入学者選抜要項を配布

 平成14年度東京大学入学者選抜要項が現在配布中である。
 募集要項によると、入学者の選抜は大学入試センター試験と第二次学力試験によって行われ、志願者が定員を大幅に上回った場合はセンター試験の成績により第一段階選抜が行われる。募集人員は、文科一類605人(前期日程544人、後期日程61人)、文科二類365人(同327人、38人)、文科三類495人(同441人、54人)、理科一類1147人(同1025人、122人)、理科二類551人(同492人、59人)、理科三類90人(同80人、10人)。
 第二次学力試験の日程は前期日程が平成14年2月25日(月)〜27日(水)(27日は理科三類のみ)、後期日程は3月13日(水)、14日(木)(14日は理科各類のみ)に行われる。試験会場は前期日程は文科各類が教養学部(駒場)、理科各類が本郷構内各学部で、後期日程は本郷で行われる。合格者の発表は前期日程が3月10日(日)、後期日程は23日(土)に本郷で行われる。
 試験の成績の公表については、合格者の最高・最低・平均点は合格発表と同時に発表される。また個人成績はA〜Eの5段階で、不合格者で出願時に希望した受験生に対し郵送で通知される。ただし、合格者については通知されない。調査書については、一部の項目を除き、受験者本人が入試事務室で閲覧することができる。


■遺伝子治療を承認

 4歳以上の患者対象に
 本学医科学研究所

 本学医科学研究所附属病院の倫理委員会は8月27日、小児がんの一種である神経芽腫への遺伝子治療計画(責任者:山下直秀教授)について、安全性などに問題はないとして承認した。9月中にもこの治療の計画案を国に申請し、承認され次第治療を開始する方針。
 治療の対象は、骨髄移植や化学療法でも直らず、病状が悪化した4歳以上の患者6人。患者からがん細胞を採取し、免疫力を高める遺伝子を組み込んだワクチン細胞を作って再び患者に戻す。米国ではすでにこの方法による治療が行われているという。
 神経芽腫は乳幼児に起きる病気で、年間約300人が発症する。7割は自然に治るが、残りの患者は治療が必要で、そのうちの1〜2割は悪性になる。


■秋季リーグ戦まもなく開幕

 東京六大学野球

 東京六大学野球秋季リーグ戦が8日から、8週にわたり、神宮球場で開催される。東大は開幕戦で、昨シーズン優勝の法大と対戦する。

▽試合開始時刻 第1試合11時、第2試合13時(第8週は13時開始)
▽会場 神宮球場

第1試合第2試合
第1週東大―法大慶大―明大
明大―慶大法大―東大
第2週15東大―早大立大―明大
16明大―立大早大―東大
第3週22法大―慶大立大―早大
23早大―立大慶大―法大
第4週29法大―明大東大―慶大
30慶大―東大明大―法大
第5週10明大―早大立大―東大
10東大―立大早大―明大
第6週1013法大―早大立大―慶大
1014慶大―立大早大―法大
第7週1020法大―立大明大―東大
1021東大―明大立大―法大
第8週1027慶大―早大
1028早大―慶大



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 黒田 瑞夫 氏

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財団法人オイスカ
 事務局次長
 亀山 近幸 氏