861号(2002年5月25日号)

1面主要記事

■食堂機能の充実優先

教養学部 コメントへの回答公表
駒場東地区再開発パブリックコメント

 本学教養学部は、駒場東地区再開発・CCCL計画についてのパブリックコメントの結果とそれに対する回答をまとめ、公表した。今回のパブリックコメントは、CCCL計画の中で平成15年度概算要求予定の「コミュニケーション広場」の整備と「駒場コミュニケーション・プラザ(仮称)」計画の第一次原案に対するもので、学生や教職員によるものなど、全体で19件の回答があった。

 教養学部では、1月29日にこれらの計画の概要をまとめた冊子を発行し、駒場第一キャンパスに在籍中の学生、教職員に対し、この原案に対するパブリックコメントを募集した。その結果、教職員や学生、学内諸団体から計17件のコメントが寄せられたほか、生協と一高同窓会からも意見が寄せられた。その意見の多くはこの計画を支持した上での建設的なものだったが、駒場寮委員会名で出されたコメントはパブリックコメントそのものを中止するよう求めるものであり、学生自治会委員長からのコメントは、パブリックコメント方式よりも学生自治会との交渉によって学生の意見を反映させる努力を行うべきという内容で、制度そのものを批難するものだった。
 教養学部ではこれらのコメントをもとに、3月から4月にかけて3回の建設委員会を開き、その結果として中間的な結論を公表した。
 その中で、計画の全体的な構想に対してはおおむね肯定的な意見が多かったとしながらも、共用会議室や集会室などコミュニケーションのためのスペースが欠けているという認識がうかがえるとした。そのため、「コミュニケーション」という計画の中心理念をどう具体化するかをこれから確定していきたいとしている。
 食事環境は、現在駒場キャンパスの抱える大きな問題の一つだが、これに対しては二階に厨房と配膳スペース、三階に食堂スペースがあるという原案では、膳を運ぶという動線に困難があるのではないかとの意見が多かった。またショッピングスペースが三つの階にまたがっていること、その中での書籍部の場所と広さについての問題もコメントの中で指摘されていたが、建設委員会ではまず食堂機能の充実を優先し、ショッピングスペースについては食堂部分の計画が終わるまでは原案をいじらない方針にしたいとしている。
 スポーツスペースに関する意見はおもに運動会関係の団体から寄せられ、50mにわたるアーチェリー場の確保、個人用トレーニング場、プールなどを設置してほしいとのコメントがあった。
 検討委員会では、これらはまだ中間段階のまとめであり、多くの問題は概算要求の進展に伴い随時検討され続けるとし、実施設計に入るまでのさまざまな計画の変更に際してこれらの意見を参考にしていきたいとしている。


■三つの専攻に改組

 知的に充実した大学院に
 法学政治学研究科

 本学法学政治学研究科は2日、法科大学院に関する説明会を行った。その中で2004年の改革の方向性としては、法律家を養成する「法曹養成専攻」、政策作成、実施に携わる職業人を養成する「公共政策専攻」、法学・政治学の研究者を育成する「基礎法政専攻」の3つの専攻に改組する方針であるとし、特に法曹養成専攻について説明を行った。
 説明によれば、法曹養成専攻は一般に法科大学院と言われているもので、司法制度改革審議会の意見書に示された法科大学院の目的・理念を受けて、国民や社会に貢献する高い志と強い責任感・倫理観を持った法律家を生み出すことを目標とし、そのための教育を行う組織であるとしている。
 カリキュラムは、法学未修者は3年、既習者は2年であり、1年次で法学未修者に基礎科目を学ばせ、2年次以降に法律学の基本的な理解を深める授業や先端的な法分野の授業を実施する方針で、既習者は2年次の内容から学ぶこととなる。
 また、入学者選抜は3年コース(未修者)と2年コース(既習者)のいずれか一方に出願することとし、本学出身者も他大学出身者も公平に扱う。その際、入学の前年に全国規模で実施される予定の適性試験を受験した上で、研究科が実施する入学者選抜を受けるものとしているが、選抜の詳細についてはまだ未定。
 この改革により、外国語による授業の増加やレポートの随時の提出に加え、成績評価が図られるなど、学生にとっては厳しいものとなるが、研究科では「知的に充実した大学院生活となることを目指している」としている。


■ちりの「輪」を撮影

 地上からの観測は世界初
 木曽観測所

 本学理学部附属天文学教育研究センター木曽観測所と文部科学省宇宙科学研究所は、すい星が軌道上に放出してできるちりの輪(ダストトレイル)を撮影することに成功した。すい星の軌道上のちりは人工衛星の赤外線望遠鏡による観測例があるが、地上からの観測は世界初となる。
 ダストトレイルは、すい星が太陽に接近した際に、揮発性の物質が放出され、軌道に沿ってドーナツ状に残るためにできる。粒子が大きくあまり拡散しないため、今までは赤外線天文衛星以外では観測できなかった。
 研究グループは2月に、火星と木星の軌道の間にある楕円軌道を運動する周期6.4年の「コプフすい星」を、口径105cmの望遠鏡で観測し、撮影に成功した。地球の軌道とは交わらないが、もし地球がこの輪とぶつかると、しし座流星群をはるかに上回る毎秒数千個の流星雨を観測することができるという。
 研究グループはこの他にも二つのダストトレイルを観測した。これらのうちの一つは地球軌道の近くを通るため、今後の条件次第では流星群を引き起こす可能性もあるという。


■第22回猿橋賞に真行寺助教授
 科学の分野で優れた業績をあげた女性研究者に贈られる第22回猿橋賞の受賞者に、本学理学系研究科の真行寺佳子助教授が選ばれた。真行寺助教授は、精子の推進力であるべん毛の屈曲運動が、べん毛の中にある「ダイニン」と呼ばれるたんぱく質が隣り合った微小管を滑らせることによって起こることを証明し、細胞生物学の重要な概念である「滑り説」の確立に寄与した点が評価された。

■「北の異界―古代オホーツクと氷民文化」展開催
 本学総合研究博物館では18日から、特別展「北の異界―古代オホーツクと氷民文化」が行われている。この展示では、5世紀から10世紀頃、オホーツク沿岸で花開いたオホーツク文化のさまざまな発掘品などが展示される。展示は7月14日まで行われる。

■六大学野球今季最下位が決まる
 東京六大学野球春季リーグ戦で東大は、第五週終了時、慶大、法大、早大、明大に連敗しており、今季の単独最下位が決まった。



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