大学改革に活発な議論を国立大学の独立行政法人化をめぐり、議論が活発に交わされている。本学においても、総長を座長とする東京大学21世紀学術経営戦略会議(UT21会議)が設けられ、東大の長期的目標を明文化する「東京大学憲章」に論点整理(案)を作成する動きが出ている。そこで本紙としても、大学の理念的立場から、東大のあるべき姿について思うところを述べ、本学出身の先輩方、在学生ならびに教官等の方々より、広く意見を乞いたいと願う次第である。 運営の機能化に留まらない独法化
この独法化の動きを、国鉄、NTTなどに見られる90年代からの民営化の大波の一部だと捉らえると、大学の独立行政法人化はその波がより終末的な意味を持って現れたものだと見ることができる。80年代のサッチャーリズムからソ連の崩壊、中国の市場経済導入など、この波が世界中のあらゆるところに到来し、そしてその影響がさまざまな形で社会に現れてきている。ここでその波を起こさしめている根源をたどってみると、結局、人間の理性に対する疑念に行き着くのではないだろうか。すなわち、理性に基づく計画経済に対する疑念、国の代表者が理性に基づいて奉仕的政治を行うことへの疑念、地球的規模で破綻を見せている理性文明への疑念などである。 変わらない大学の使命と価値
しかし、この危険性ばかりを見つめ、現状維持に固執し、より良き姿を指向することを怠る傾向があるとすれば、それもまた大学の理念に反する姿勢であると言わざるを得ない。改革案が出されるのは、あくまでも現状に問題があるとされているからに他ならない。現に、学生の学力低下、教授の研究・教育へのインセンティブの低下、事務手続きの繁雑さとそれによる非効率性、実社会との連携不足、新しい学問的フロンティアの開拓精神喪失等々は、大学やそれを取り巻く社会が内包する問題として、あるいは大学の従来の構造が長年続く中で顕在化してきた事象として、これまで繰り返し指摘されてきたものである。これらの問題を解決していくには、確かに、何らかの措置を講じる必要があるだろう。 |
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■主 張 |
豊かな人間性育む環境を 第903号(2003年11月15日号)
東アジア友好に向かって
世界的・長期的な意識を
東大の誇りを持ち行動を
共同で「開かれたアジア」を
大学改革に活発な議論を
新入生へのアドバイス
年頭所感
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こころの教育 |