876号(2002年12月5日号)

1面主要記事

■産学でビジョン共有を

NCRC発足記念シンポジウム

 生産技術研究所と先端科学技術研究センターが共同で運営するナノエレクトロニクス連携研究センター(NCRC)の発足記念シンポジウムが11月26日、こまばエミナースで開催された。NCRCのセンター長である荒川泰彦教授は同センターの概略について触れた後、産学連携に関して企業と大学のビジョンの共有が重要であると語った。

 NCRCは次世代デバイス基盤技術をナノテクノロジーに立脚して確立することを目的として発足した。また、今年度より文部科学省世界最先端IT国家実現重点研究開発プロジェクトのひとつ「光・電子デバイス技術の開発」プロジェクトの推進を中心的使命としており、同じく今年度より発足している経済産業省プロジェクト「フォトニックネットワーク技術の開発」と強い連携をはかっている。
 今回開催されたシンポジウムのタイトルは「ナノテクノロジーが開く次世代情報通信素子技術基盤」。
 最初に、先端科学技術研究センター長の南谷崇教授と文部科学省官房審議官の坂田東一氏が挨拶を行った。南谷教授は、再来年四月の国立大学の独立法人化に向けて、教育と研究の両面に力を入れる新しい産学連携のモデルとなることを期待すると語った。また坂田氏は、情報通信の分野での研究の開発と、情報研究の基盤をしっかり作り上げるという二つの観点から取り組みを進めていく必要があると述べた。前者に関してはは、実用化に目を向けて、大学のキャンパスの中で産学官連携を図ることができるような仕組みを作っていきたいと述べた。
 その後、NCRCのセンター長である荒川泰彦教授をはじめ、同センターに参加する国内外の第一線の教授6名が講演を行った。シンポジウム終了後は、発足を記念して懇談会も行われた。
 産学官連携による産業活性化への寄与が、同センターに期待されている。


■軟骨再生が期待

 組織工学を応用
 身体運動科学シンポジウム

 11月30日、駒場キャンパス・数理科学研究棟大講義室で、身体運動科学シンポジウム第十回記念大会(総合文化研究科生命環境科学系・身体運動科学研究室、記念大会実行委員会主催)が開催された。シンポジウムのテーマは「身体運動科学は21世紀の柱となりうるか」。前工学部長で化学システム工学科の小宮山宏教授が招かれ、午前から夕方六時過ぎまでの二部形式で行われた。総合文化研究科生命環境科学系の跡見順子教授と大築立志教授がそれぞれ一部二部の司会を行い、跡見教授ら16名の教授陣が講演した。
 総合文化研究科身体運動科学研究室の福林徹教授は、軟骨再生の問題は現在の手術やリハビリテーション技術でも回復不可能な領域として残されているとし、現在この軟骨損傷がもとで引退を余儀なくされるトップ選手が多いことから、組織工学を応用した軟骨再生が期待されると語った。
 記念特別講演は、小宮山教授が「動け!日本ー知の構造化と表出」と題して行った。


■公聴会で意見発表

 男女共同参画基本計画

 東京大学男女共同参画基本計画(案)への学生・院生の意見公募に対する公聴会が11月20日午後4時より理学部二階の講堂で開催された。男女共同参画推進委員会が基本計画案に関して学生・大学生の意見を公募したところ、短い期間の間に5名の意見が寄せられた。いずれも示唆に富むと考えられたことから推進委員会として公聴会を開催するに至った。
 公聴会では5人の学生がそれぞれ意見を発表し、ついで質疑や意見交換が行われた。
 大根田頼尚さん(文科1類2年)がセクシャルハラスメントの防止および統計等の情報の公開について、松田浩子さん(大学院工学系研究科修士課程1年)が学内託児所の整備について、相馬直子さん(大学院総合文化研究科博士課程1年)が育児環境の整備について、高松香奈さん(大学院新領域創成科学研究科博士課程1年)がジェンダーに関する教育や研究の拡充とそのための方法について、西川美幸さん(大学院理学系研究科博士課程2年)履行傾倒、女性の学生や教官の少ない分野におけるハラスメントの実際とその防止策について意見を発表した。
 本学では今年度から「男女共同参画推進委員会」が設けられ、「東京大学男女共同参画基本計画」(案)の策定に向けた活動が行われている。策定は2003年度前半を目標としており、そのために広く本学の構成員から意見を募っており、最終方針案に反映させていく方針。


■UT Forum 2002
 東京大学シンポジウム 東アジアにおける「公共知」の創出―過去・現在・未来

 「公共知」とは文明、国家などといった特定の共同体を超えた公共性の領域で形成され、またこれを成り立たせる知識のことである。東アジアではかつて、各地域で公共知の形成や制度化がなされた。私たちは「公共知」をいかに形成し、そこで何を見出してきたのか。また、今後何を見出し実践すべきなのか。その課題と可能性を展望したい。
▽日時 12月14日(土)〜15日(日)
▽場所 駒場キャンパス数理科学研究棟(入場無料)
▽主催 東京大学
▽共催  世紀COE共生のための国際哲学交流センター東アジア四大学フォーラム(CCC)
▽問い合わせ先
 公共知シンポジウム組織委員会(山本博之)
email:yamamoto@ask.c.u-tokyo.ac.jp FAX 03‐5454‐6000
▽プログラム
14日
9時30分〜
基調報告・趣旨説明
12時30分〜15時
・セッション1 東アジアの公共知を〈省みる〉
15時30分〜18時
・セッション2 東アジア公共知の<現在>
19時〜 懇親会

15日
9時30分〜12時
・セッション3 アジア公共知の<将来>
13時15分〜16時15分
・セッション4 総合討論

■理学系研究科・理学部 第二回公開講演会

▽日時 12月20日(金)18時〜20時15分(開場17時)
▽場所 駒場キャンパス 数理科学研究科 大講義室
▽参加費 無料(入場は先着300人で締め切り)
▽主催 東京大学理学系研究科・理学部

▽講演プログラム
1 真行寺千佳子助教授(生物科学専攻):「鞭毛運動の機構―精子の運動をになう『9+2』構造の謎を解く」
2 鈴木洋一郎教授(宇宙線研究所 神岡素粒子研究施設):「スーパーカミオカンデとニュートリノ」
3 佐藤勝彦教授(理学系研究科長、物理学専攻):「小柴先生のノーベル賞受賞となった超新星ニュートリノの検出―理論とその後の進展―」



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