877号(2002年12月15日号)

1面主要記事

■研究成果を社会に還元

産学連携推進室が発足

 本学産学連携推進室(室長・石川正俊総長特任補佐)が2日、発足した。国立大学の独立行政法人化など近年の大学を取り巻く環境の変化を受けて、本学では4月から産学連携推進企画室を設置し、組織や業務の設計を主とした企画が行われてきたが、この12月に全学的な運営組織としての産学連携推進室に移行した。

 本学の創立以来、産業界の発展に対し部局ごとではさまざまな活動が行われてきた。しかし、近年の知的財産権をめぐる国際競争の激化や新規産業創出への社会が寄せる期待の高まり、研究成果の国民への還元方法など大学をめぐる環境が大きく変わりつつあり、今までより明確な形で社会に受け入れられる知の創造が大学の役割として重要な意味を持つようになってきた。そこで本学では、研究成果の社会への還元をより積極的に進めていく組織として産学連携推進室を発足させた。
 産学連携推進室では、産学連携相談の窓口となるコンサルテーション事業や産学交流の場を設置するプラザ事業、産学連携モデルの開発を行うモデル化事業などの七つの事業を柱にして、TLOや国際・産学共同研究センターなどの関連組織と連携して、知的財産権の有効活用を目指す。また独立行政法人化を控え、産学連携を取り巻く情勢が大きく変化すると考えられるが、これに対しても迅速に対応することとしている。


■成績優秀者を表彰

 第4回説明会を開催
 法科大学院

 本学法学政治学研究科は12日、第4回法科大学院説明会を行った。2004年度から同研究科は今までの4専攻から「法曹養成専攻」「公共政策専攻」「基礎法政専攻」(いずれも仮称)の3専攻に改組されることとなっており、これまでも3回にわたり説明会が行われてきた。今回は5月に行われた第3回の説明会以降の審議の概要が説明され、成績優秀者を表彰する制度を導入することや、入学者選考の際にTOEFLなどの外国語の能力を示す書類の提出が必要となることなどが発表された。
 法曹養成専攻(法科大学院)のカリキュラムには法学未修者用の3年コースと既習者用の2年コースが設置され、教育には実務家教員も多く携わることになる。またリサーチペーパーの提出により2単位を得ることも可能になる。成績評価も厳格に行うこととなっているが、一方で成績優秀者を表彰する制度も導入する。また優秀なリサーチペーパーを表彰することも考えられているという。
 入学試験としては、既習者コース、未修者コースの両コースとも適性試験が課され、さらに既習者コースでは法律科目の専門試験が課される。また両コースとも外国語の能力を示す書類が必要になる。外国語は英語に限定されないが、英語以外の外国語の範囲は検討中である。英語の場合には、過去2年以内のTOEFLまたはTOEICの成績の提出が必要となる。実施時期などの入試関連の細目は決まり次第法学部のホームページで発表される。
 それに伴い、法学部の定員も現行の600人程度から400人程度まで削減される。また科大学院同様に、成績優秀者を表彰する制度も導入予定で、これは主領域、副領域別に表彰する予定になっている。カリキュラムも必修科目などの構成が変更され、法学史や英米法など現行カリキュラムの一部が開講されないこととなる。


■小石川分館1周年記念特別展

 『驚異の部屋』開催中
 本学総合研究博物館

開館1周年を迎えた小石川分館
 東京大学総合研究博物館は、7日から来年3月2日まで小石川分館の開館1周年を記念して、特別展「MICROCOSMOGRAPHIA―マーク・ダイオンの『驚異の部屋』」を開催している。
 小石川分館は、昨年11月に開館してから1年。明治9年に完成した旧東京医学校の本館を移築したもので明治初期の木造擬洋風建築の特徴を残す建物として昭和45年に国から重要文化財の指定を受けている。昨年全面的な改修工事がなされ、新旧の様式・機能を織り交ぜた新しい博物館施設に衣替えした。
 マーク・ダイオンは、1961年米国マサチューセッツ州に生まれ、ニューヨークを中心に活動している美術家だ。20代から国内のアート・シーンで注目を集めてきたダイオンは、1990年代に入り国際的な舞台で光彩を放ち、いまや欧米の主要な美術館・博物館の寵児の一人とされている。ダイオンは狭い意味での「現代美術」の枠に囚われることなく、広く自然環境や社会生活という視点から、人間と自然の関係、現代における「知」のあり方を問い続けてきた。彼の作品は大勢のボランティアとともにフィールドをハンティングし、採取した様々な自然物や人工物を独自の視点から分類し直し、虚実の入り交じった擬似的な博物学的小宇宙を再構成することを基本としている。
 本展は東京大学の所蔵する様々な学術標本を中心に構成される。分館2階は、水圏、地上圏など8つの圏の展示物で構成されている。東京大学が120年を超える歴史のなかで蓄積してきた多種多様な学術標本のインスタレーションは、現代のミュージアムの原型とも言われる「ヴンダーカマー(驚異の部屋)」すなわち、近世ヨーロッパで王侯貴族や自然科学者が情熱を燃やした珍奇物の宝庫の驚異的な側面と、コレクションにかける人間の理性では割り切れぬ不思議な魅力とを、同時に彷彿させてくれる。
 小石川分館の最寄駅は営団丸の内線茗荷谷駅。土・日曜、祝日は休館で、午前10時から午後4時半まで開館している。


■東大病院の元看護師を書類送検
 本学医学部付属病院の元看護師が医師の指示なく処方せんを発行し、睡眠導入剤「ハルシオン」を不正入手していた事件で、警視庁と本富士署は10日までに、この元看護師を不正アクセス禁止法違反と医師法違反などの容疑で書類送検した。

■平成15年度入学者募集要項を配布
 平成15年度本学入学者募集要項が現在配布中である。来年度入試の出願期間は平成15年1月27日(月)から2月5日(水)、試験期日は前期日程は2月25日(火)から27日(木)、後期日程は3月13日(木)、14日(金)で、合格発表は前期日程3月10日(月)、後期日程3月23日(日)となっている。募集人員や試験科目等に変更はない。募集要項は各学部窓口で配布されている他、請求方法などについてのテレホンサービス(03−3818−9900)も行っている。



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