893号(2003年7月5日号)

1面主要記事

■"手作り"衛星宇宙へ

  ロシア基地から打ち上げ
  工学系研究科 中須賀真一助教授グループ

 本学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の中須賀真一助教授のグループと東京工業大の学生らが手作りした超小型人工衛星2基を載せたロケットが6月30日午後11時15分(現地時間同日午後6時15分)、ロシア北西部のプレセツク宇宙基地から打ち上げられた。衛星は、打ち上げから約1時間半後に高度約820kmの円軌道に投入され、1日朝、予定の軌道に乗ったことが確認された。

 今回の打ち上げは学生やアマチュアにも宇宙への門戸を広げる試みで、「学生にも宇宙工学の実践を」という米の研究者の発案で始まったプロジェクトの第一弾。
 中須賀研究室では、2000年より約1年半かかって設計・製作・地上実験を行い、2001年末に完成させたが、その後、打ち上げチャンスが得られずにここまで延びてきた。
 ロケットはロシアとドイツの合弁企業、ユーロコット社の所有。主目的はチェコの大気観測衛星などの打ち上げで、日本の2衛星は米、カナダ、デンマークの4大学の小型衛星4基とともに搭載された。
 先にチェコの大気観測衛星とカナダの宇宙望遠鏡衛星を分離。打ち上げから約一時間半後に、中須賀研究室の「サイ」などキューブサット6個を、高度約820kmの円軌道に順次投入した。
 キューブサットは、10cm立方、1kg。サイは太陽電池で発電し、アマチュア無線で通信を行う。搭載カメラで地球の画像を撮影し、中須賀研究室に送信。画像は一般の希望者に電子メールで無料配信された。現地や衛星から届けられる情報を待ち受けた学生は「打ち上げ成功」と歓声を上げた。

 キューブサット
 スタンフォード大学のロバート・ツウィッグス教授より提案された10cm立方、1kg以下の標準サイズの超小型衛星のプロジェクトである。学生が衛星開発のすべてのプロセスを経験し、さらに打ち上げて実際の世界での挙動を知ることにより、実践的な宇宙工学教育を施すことができ、また、プロジェクトマネジメントの面でも極めて有効な教育手段として注目されている。


■立体画像を開発

  街頭広告への利用に期待
  工学部 土肥 健純 教授ら

 本学大学院情報理工学系研究科の土肥健純教授らのグループが、特殊な眼鏡などを使わなくても、画像が画面から1m以上も飛び出して見える立体ディスプレーを開発し、1日発表した。
 試作品は解像度が低いため、まだアルファベットが表示できる程度だが、何枚も組み合わせれば大型化が可能。インパクトがある街頭広告などに利用できそうだという。
 写真の原理を応用し、画面上に約1200個のレンズ(直径6mm)を並べる。それぞれに対応する小さな画像を記録した写真フィルムの後から光を投影する仕組み。五メートル離れた位置に立つと、文字が画面の一メートル手前に、別の文字は画面より1m奥にあるように見える。
 従来は数センチメートル飛び出させるのが限界だったが、焦点距離が長いレンズを使い、特殊な画像処理を行うなど工夫をこらした。土肥教授は「将来は動画も再生できるように改良したい」と話している。



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