■血管に空気注入
研修医が機械操作 患者が意識不明の重体
医学部附属病院
医学部附属病院は2日、20代の女性患者に対して行っていた肝臓の緊急手術中に誤って血管に空気を注入、患者が意識不明の重体になる医療ミスがあったと発表した。患者は一時心停止状態に陥り、その後心臓の動きは取り戻したものの、意識はなく、集中治療室で治療を受けている。
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病院によると、手術は1日の午前に行われ、担当したのは麻酔の専門医(43)と研修医(24)。専門医が手術開始後間もなく、他の手術の様子を見るために手術室を出ていた際に、研修医が輸血量を増やす操作を行い、その際に空気が混入したと見られている。
手術で使われた「急速輸血ポンプ」は扱いが複雑で、輸血量を増やすと空気混入の可能性が高まるため、研修医はこの機械に触らないようマニュアルで定められていた。しかし執刀医が「今日の輸血量は多めに」と言ったのを研修医が「輸血量を今すぐ増やすように」と思い込んだためポンプを操作したという。
またポンプには空気の混入を知らせる安全装置も取り付けられていたが、設置部位が適切でなかったため正しく作動しなかったことも明らかになっている。
病院はこの事故を警視庁本富士署に届け出るとともに、院内に医療事故調査委員会を設置し、事故原因の究明とともに再発防止策の検討を始めた。届け出を受けた本富士署では業務上過失傷害の疑いもあると見て関係者から事情を聞いている。
医学部附属病院では昨年以降3件の重大な医療事故が起きている。
■効果的な防災対策
新システムを開発
生産技術研究所 目黒助教授ら
生産技術研究所の目黒公郎助教授らは、地震で想定される被害の広がりやそれに対する効果的な防災対策を、シミュレーションなどで定量的に示すシステムを開発した。
このシステムは「危機管理・防災情報ステーション」と呼ばれるもので、地震被害や避難経路などのシミュレーション、その情報を蓄積するデータベースのアーカイブシステム、情報周知のためのeラーニングシステムなどが組み込まれている。
シミュレーションは、建物の階数などの条件を変化させることで住宅内の地震被害を想定、どのような避難行動を取るべきかなどの危機管理意識向上につながることが期待される。またアーカイブシステムは、シミュレーションで得られた情報を蓄積し、最適な情報を提供できるほか、防災マニュアルの作成にも役立つ。
当面は大型ディスプレーによる入力表示システムが使用されるが、今後は必要な情報をより簡単に取り出せるように、インターネット上で閲覧できるようにしたいという。
■微弱電流が脳を活性
パーキンソン病治療に期待
教育学研究科 山本義春教授ら
教育学研究科の山本義春教授らは、科学技術振興事業団と共同で、適度に乱れた電流が脳の働きを鋭敏にすることを突き止めた。神経を伝わり脳に届ける電気信号が外部からの微弱電流によって脳で強められる「確率共鳴」という現象があるが、山本教授らはその電流が「f分の一ゆらぎ」という適度な乱れを持つ時に起こることを発見した。
f分の一ゆらぎは、普通のノイズが規則性を持たないのに比べ、ゆらぎの大きさが周波数に反比例するなどの規則性を持っている。心臓の拍音もこのゆらぎを持っており、生体に普遍的な現象とされている。
山本教授らはこの確率共鳴を応用し、パーキンソン病などで機能不全に陥った自律神経を回復させる治療法を研究しており、今回の発見がパーキンソン病治療に役立つことが期待されている。
■法学部定員大幅削減へ
全国19大学で来年度より
文部科学省が28日に発表した2004年度の国立大学入学定員によると、来年度の法学部の定員が現行の590人から190人減って、400人となることが明らかになった。これは来年度から設置される法科大学院に教員や予算を割く必要が出てきたためで、本学以外にも法学関係学部の定員が全国19大学で計925人削減される。
これを受けて、来年度の入学試験の文科一類の定員も大幅に削減される見通しとなっている。
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