900号(2003年10月15日号)

1面主要記事

■司法制度のあり方語る

  国民に開かれた司法へ
  法科大学院開設記念連続講演会第1回

 法科大学院開設を記念した連続講演会「司法制度改革のゆくえ」の第1回が1日、法文2号館31番教室で行われた。第1回目となる今回は「司法制度が目指すもの」という副題で、佐藤幸治前司法制度改革審議会会長と佐々木毅本学総長がそれぞれ講演を行った。この講演会の主催は法学政治学研究科のビジネスローセンターで、今後も月に1回のペースで講演を行っていく予定。

 現在行われているわが国の司法制度改革は、明治時代・戦後に次ぐ法制度の大改革であり、法科大学院をはじめとする法曹養成改革に限らず、刑事・民事裁判等のあり方も変えていくものである。本学では、司法制度改革の全貌を理解するための一助となる場を提供することを目的に、本連続講演会が企画されることとなった。法科大学院設置に加えて、本学の司法制度改革に関する社会貢献と位置付けられている。
 第1回目の講演会では「司法改革の目指すもの」という副題のもと、総論的なテーマが扱われた。
 まず、前司法制度改革審議会会長の佐藤幸治氏が「司法改革の経緯と展望」というタイトルで講演を行った。講演の中で佐藤氏は、今回の司法改革が内閣主導のものであり、内閣の支持がなければ司法改革は実現に至ることができなかったと述べた。また一連の司法改革のねらいは国民が真に利用しやすい司法制度を創るための改革であり、司法制度や法曹養成、国民の司法参加などに関する改革が行われると説明した。また、裁判員制度や司法ネットの充実、法科大学院など今後の課題として残された問題に関しても触れ、長期にわたる努力が必要だと語った。
 続いて佐々木毅総長が「司法制度改革と大学改革」というタイトルで講演を行った。佐々木総長は本学出身の官僚の不祥事が相次いだこと、戦後の法学教育がジェネラリスト教育であり法曹養成を行えていなかったことなどから、本学法学部の将来について懸念しており、法科大学院の構想に当たっては、法学部の問題も同時に解決できるように考慮したという。
 また、法科大学院が開設され法曹養成に関して教育責任を引き受けることで、大学と社会の接点が創出され、同時に大学が教育に関する社会的役割を果たしていることを明示できると、法科大学院設立に対する大学としての期待を述べた。スペシャリストとプロフェッショナルとの違いにも触れ、スペシャリストの養成も重要であるが、むしろプロフェッショナルの養成を重要視して行う機関となることが願われると語った。
 本講演会は毎月1回、一つのテーマに関して講演を行い、合計で10回程度になる見通し。次回講演会の副題は「法曹養成と法学教育」で、11月20日午後1時より法文2号館31番教室で行われる。


■慶大戦9年ぶり白星

  杉岡が劇的なサヨナラ打
  東京六大学野球

 東京六大学野球秋季リーグ戦、第四週の慶大戦2回戦で、東大は慶大にサヨナラ勝ちを収め、94年秋季以来9年ぶりに慶大から白星を挙げた。
 1回戦、東大は1回に3点を先制をするものの、6回と8回に中村に2本の本塁打を浴び逆転負けを喫した。
 2回戦は1対1の同点で迎えた5回、前原の適時打と杉岡の本塁打で4点を挙げた。その後7回、8回に慶大に逆転を許したが、9回2死満塁から押し出し四球と前原の中前適時打で同点に追いつき、なおも2死2、3塁から杉岡が左前に安打を放ち、劇的なサヨナラ勝ちを収めた。3回戦は慶大に敗れ勝ち点は逃がしたものの、東大は慶大から9年ぶりの白星で対慶大戦の連敗を36、昨秋からの連敗を21で止めた。東大のサヨナラ勝ちは97年秋の立大戦以来6年ぶり。
     ◆
 翌第五週の法大戦は、1回戦は先発の木村が3失点完投の好投を見せるも打線が沈黙し、完封負け。2回戦は7回2死から10点を失い、11点を追う展開に。その後木曽のリーグ戦初本塁打などで6点を挙げたが追い上げ及ばず連敗した。この試合で東大は16安打10点を挙げ、9年ぶりの二けた得点、73年ぶりの16安打を記録した。安打数のチーム記録は1930年法大戦の17。
 東大は25日からの立大戦で勝ち点を挙げれば、6年ぶりの最下位脱出となる。


■本学の取り組みも採択

  文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム」

 文部科学省は9月18日、平成15年度「特色ある大学教育支援プログラム」の審査結果を公表した。本プログラムを実施するに当たって、募集テーマとしては5つのテーマが設定されており、合計80件の申請が採択された。浅島誠教養学部長を申請担当者とする、本学の「教養教育と大学院先端研究との創造的連携の推進」の取り組みも採択された。
 今年度からの文部科学省の新規事業である「特色ある大学教育支援プログラム」は、わが国高等教育の活性化を促進させることを目的に、大学教育も改善に資する種々の取り組みのうち、特色あり優れているものを選定、公表することによって、それぞれの大学、短期大学が選定された取り組みを参考に教育の改善・改革を推進していくことを目指すものである。また選定された教育プログラムには、必要運営資金が重点的に配分される。
 募集テーマは「主として総合的取組に関するテーマ」、「主として教育課程の工夫改善に関するテーマ」「主として教育方法の工夫改善に関するテーマ」「主として学生の学習及び課外活動に関するテーマ」「主として大学と地域・社会との連携の工夫改善に関するテーマ」の5つだった。また、申請は大学単位もしくは学部単位とされていた。
 採択された本学の取り組みは「主として総合的取組に関するテーマ」の一つとして採択されていた。


■基礎科学支援の財団設立

  小柴名誉教授

 昨年のノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊名誉教授が1日、基礎科学研究を支援する財団「平成基礎科学財団」を設立した。
 財団は、社会に直接役に立たない基礎研究に取り組む研究者の支援を目的に設立された。財団では基礎研究で優れた成果を挙げた研究者や科学教育に貢献した人を顕彰するほか、教材の開発も進める。
 基本財産は1億円で、小柴名誉教授がノーベル賞の賞金を含む4000万円、ニュートリノをとらえるセンサーを開発した浜松ホトニクスの晝馬輝夫社長が6000万円を拠出した。



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