906号(2003年12月15日号)

1面主要記事

■社会貢献する大学へ

  合同講演会を紹介
  生産研所長会見

 本学生産技術研究所は5日、同研究所第一会議室で記者会見を開催した。記者会見では、生産技術研究所所長の西尾茂文教授のプレゼンテーションと来る1月28日に行われる「学術講演会・産学連携フォーラム合同講演会『リサーチインテグレーションと産学連携』」の紹介を行った。

 リサーチインテグレーションとは、科学技術基本計画が提案するライフサイエンスや情報通信などの重点八分野などに呼応できるようなグループ。来月の講演会は、リサーチインテグレーションを核とした生産技術研究所の目指す社会貢献の方向性を紹介する予定だ。
 また西尾所長は会見の中で、「社会と歩む大学に向けて」と題してプレゼンテーションを行い、法人化は「保障される自治」から「保証する自治」への移行であるとし、自治を保障されるばかりでなく、大学としての活動を社会に保証することだと語った。
 さらに、保証すべき大学としての活動は教育、研究、啓行が大切であると述べ、教育は人材育成を通じて、研究は学術発展を含めた成果還元を通じて社会貢献を目指し、啓行は社会とより直接に対話することを意味するものだと語った。


■PHSで商品情報を

  コードを読み取って取得
  情報学環 坂村 健 教授

 大学院情報学環・学際情報学府の坂村健教授は3日、商品の産地や生産者などの情報を入手できるPHS(簡易型携帯電話)を開発したと発表した。
 このPHSは商品のバーコードや無線ICタグに記録されているコードを読み取り、坂村教授が主宰するユビキタスIDセンターのサーバーと通信すると、製品の情報が詰まったサーバーに再接続し、商品情報が送られてくるというもの。食品のトレーサビリティー(追跡可能性)などに利用できると考えられ、流通業などの参加を得て、実用化を目指す。


■からだの総合研究の必要性を論議

  身体運動科学シンポ開催

 第11回身体運動科学シンポジウム「いのちとこころをつなぐネットワーク」が、11月29日午後0時50分より、数理科学研究棟大講義室で行われた。このシンポジウムは本学総合文化研究科生命環境科学系・身体運動科学研究室主催で行われたもので、ポスター発表や6人の教授による講演、総合討論が行われた。
 人間は、「運動」を媒介として周囲の環境に働きかけながら日常生活を営んでいる。運動は、環境との相互作用の手段として必要不可欠な生命活動であると同時に、自己の心を表現し他者とのコミュニケーションを行う有力な手段でもある。本シンポジウムでは、心理学、身体運動科学、社会科学等、さまざまな角度からヒューマン・アクティヴィティ・リソースとしての身体運動を再考し、QOL(quality of life)レベルの高い精神的、身体的、社会的に健康なアクティヴ・ューマン・ライフの基盤確立の方策を探った。
 身体運動科学研究室主任の跡見順子教授は挨拶で、21世紀の現在、科学技術の躍進とは裏腹に、人々は「私」が理解できていないと指摘。その上で、自分のからだを、想像し、理解し、言語化することにより統合的かつ根本的にとらえなおし、生きる力を身につける学術研究および教育が必要だと語った。ポスター発表や総合討論の場では、講演者と視聴者が活発な意見交換を行った。
 会場はさまざまな大学の学生と社会人らでにぎわった。


■学術的な交流を促進

  「本音で語るキャリアデザイン」

 第15回新領域創成フォーラム「本音で語るキャリアデザイン」が11月29日、柏キャンパスで行われた。もともと別々の研究室がお互いの研究内容を共有しあう目的で始まったフォーラムだが、最近では修士課程の学生や学部生のキャリア設計に役立つよう、博士課程の学生やOBと交流する機会も設けられるようになってきている。フォーラムでは、新領域創成科学研究科を卒業した社会人3人と、同研究科で博士課程に進んだ3人の計6人が講演した後、会場からの質問に講演者が答えるという形でのパネルディスカッションが行われた。
 講演に先立って挨拶した研究教育改善室長の雨宮慶幸教授は、柏キャンパスが壁のない開かれた空間になっていることを紹介し、領域の壁がない学融合を標榜する新領域創成科学研究科の教育目標を強調した。


■「東京大学の生命科学」シンポ開催

  生命科学の先端研究を発表

 「東京大学の生命科学」シンポジウムが安田講堂で12月6日午後1時より開催された。このシンポジウムは、本学内の生命を扱うすべての研究科・研究所から最先端トピックを1件ずつ取り上げ、わかりやすく紹介しようというもの。学内外に広く本学の生命科学の高いアクティビティーや生命科学の面白さなどを伝えることを目的としている。また、本シンポジウムは本学の九つのCOEプロジェクトから支援を受けて開催された。会場には多くの学生が集い、生命科学の先端研究発表に熱心に耳を傾けていた。
 講演に先立ち、副学長の小宮山宏教授が挨拶。この中で小宮山教授は、本シンポジウムが大学内部組織の枠を越えたシンポジウムであることを強調した上で、このシンポジウム形式は、組織を動かさずにネットワークを構築するという新しい分野に対応し発展する典型になるのではないかと述べた。


■Newsホットライン

 本学大学院新領域創成科学研究科の難波成任教授らは8日、病原微生物「ファイトプラズマ」の一種の全遺伝情報を初めて解読したと発表した。
 ファイトプラズマはイネや野菜などを枯らす病原微生物でウイルスと細菌の中間に位置付けられる微生物。遺伝子の分析により駆除薬を開発できると期待される。



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 豊かな人間性育む環境を
  第903号(2003年11月15日号)

 東アジア友好に向かって
  第878号(2002年12月25日号)

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