■進路の悩みが最多
心身の健康も調査
2002年学生生活実態調査
2002年(第52回)学生生活実態調査の結果が11日、公表された。この調査は本学学生生活実態調査委員が毎年行っているもので、今年は生活費や住居、学生生活の満足度などに加え、特殊分析として学生の心身の健康状態についても取り上げられた。 |
今回の調査は昨年11月下旬から12月下旬にかけて、学部・科類別無作為抽出法で在籍者数の4分の1を抽出した3749人を対象に行われ、回答数は1394人(回収率37.2%)だった。今回の調査では1971年調査までさかのぼって取り上げた項目がいくつかあり、1971年以降の調査の実施状況も表示された。それによると、1984年以降では毎年男子・女子を対象に調査が行われており、7年に一度は大学院生対象の調査も行われている。また、今年は抽出率が4分の1と、ここ数年の8分の1の2倍と対象者数は多かったが、回収率は過去最低となり初めて40%を切った。
今年度の特殊分析として取り上げられたのは、学生の心身の健康状態についてで、今回は1998年、2001年の調査との比較がなされた。
健康状態は「非常に良好」「良好」を合わせて87.9%となり、前回までの調査とほとんど変わらない。朝食に関しては1998年に比べてやや食べない傾向が強くなった。喫煙については、「全く吸わない」が88.0%(98年87.3%)と、全国平均が低下傾向にあるなか、前回からほとんど変わらないという結果になった。
学生生活の中で、悩みや不安を感じたりしているものとして、「よく悩む」と答えたものを見ると、「将来の進路や生き方」が39.2%で最も多く、「就職」26.8%、「学部進学や大学院進学」22.4%、「性・異性・恋愛・結婚」21.4%、「勉学(成績・単位など)」20.4%と続いた。「将来の進路や生き方」は「よく悩む」「ときに悩む」を合わせると78.8%となり、多くの学生が悩んでいることが明らかになった。また、「よく悩む」と「ときに悩む」を合わせた全体の上位を前回(2001年)と比較してみると、「就職」が60.5%でほぼ同じ割合の他は各項目とも減少しており、この一年の世相の変化を楽観視する人が増えてきていると思われた。
また、今回具体的記述事項に、『現代の日本社会における、ストレス、無気力状態(アパシー)、対人不安、摂食障害などのいわゆる「こころの悩み」についてあなたは、どのような考えをもっていますか。また、身近(家族、友達、恋人)にこのような悩みを持つ人がいた場合、社会または個人としてどのような対応をしたらよいと思いますか』という設問が設けられた。これに対しては一部厳しい意見も見られたものの、「心の悩み」は「誰もが持っている」など、寛容な意見が多数を占めた。「こころの悩み」は、悩む本人以上に、周囲の人々の対応が問題の根源とする認識が多かった。
■産業界の知財戦略学ぶ
第2回産学連携シンポ
本学産学連携推進室主催の第2回産学連携シンポジウムが18日午後5時から安田講堂で開催された。テーマは「未来を拓く知的財産戦略」。
本学副学長の小宮山宏教授の開会挨拶の後、本学総長特任・産学連携推進室長の石川正俊教授が「東京大学の産学連携」と題した講演を行い、さらに松下電器産業株式会社・知的財産権本部長の山崎攻氏による「知財立社へ向けて〜エレクトロニクスの場合〜」、武田薬品工業株式会社常務取締役知的財産部長の秋元浩氏による「製薬会社の特許戦略」の二つの招待講演が行われた。
石川教授は講演の中で、学内及び産業界に向けた相談窓口を設けたりするコンサルテーション事業、知的財産の管理・運営・活用促進などを掲げたマネージメント事業などの産学連携推進のための七つの事業計画について説明した。
また今後の課題として、公平性・透明性・迅速性・守秘義務の確保や大学の独創的研究成果・知的財産に対する適切な評価などの五つの基本的課題に加え、ニーズとシーズのマッチングにむけての情報基盤の整備やベンチャー起業支援、既存企業での事業化促進などを挙げた。
次回のシンポジウムは3月に予定されている。
■ロボット打者を開発
300km/hの速球を打ち返す
情報理工学系研究科 石川正俊教授ら
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速球や変化球を見事に 打ち返すロボット打者 |
本学大学院情報理工学系研究科の石川正俊教授らの研究グループが、人が投げたボールの軌道を瞬時に判断し、打ち返す"ロボット打者"を開発し、17日、打撃の実演を公開した。
2.5m離れた場所から、直径9cmの発砲スチロール製ボールを投げると、両脇にある2台のカメラが1000分の1秒ごとにボールの位置を認識、ストライクゾーンにきたボールは、ほぼ芯でとらえることができ、300km/h以上の超剛速球や変化球も打つことができる。
石川教授らはこれまでも、落下するボールを二本指でキャッチする指や、高速で動く物体を追跡する目などのロボット技術を開発している。
石川教授は「ロボットが人間を目標にしていた時代は終わり、限界に挑戦する時代に入った。産業用のロボットの性能を大幅に引き上げ、手術支援などに用途を広げたい」と話している。
■ウナギの生態を衛星で調査
海洋研・塚本教授ら
本学海洋研究所の塚本勝巳教授らの研究チームは、文部科学省宇宙科学研究所と共同で21日、なぞの多いウナギの生態を解明しようと熊本県・天草沖の八代海でウナギに発信器を付け、人工衛星を使って回遊ルートや産卵場所などを突き止める調査を始めた。
塚本教授らメンバー5人は、21日夕方、ウナギ約10匹を捕獲。そのうち4匹の胴体に音波を発する小型発信器や、人工衛星に信号を送って位置を知らせる発信器を装備、再び海に放した。
ウナギの生態は不明な点が多く、現在世界には18種類が確認されているが、いずれも産卵場所は特定されていない。
塚本教授は「回遊ルートのなか、海でウナギが泳ぐ深度などがつかめることも今後の解明の貴重なデータとなる」としている。
■Newsホットライン
15日午前11時45分頃、本学医学部一号館の地下一階から出火、間もなく消防が消し止めた。
警視庁本富士暑と東京消防庁の調べでは、電気を使った実験道具が火元とみられ、内壁などを焦がした。
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