■9名の受賞者が決定
第4回発明コンテスト
本学生産技術研究所、生産技術研究奨励会(TLO)が主催する、第四回本学発明コンテスト表彰式が、1月24日、本学駒場ファカルティハウスで開催された。受賞者は主催者から表彰状、楯、賞金を授与された。 |
このコンテストは、研究者としての第一歩を踏み出したばかりの柔軟な思考を持つ学生たちに、知的財産権主張のトレーニング機会を与えることを目的として毎年行われている。今回のコンテストには、昨年7月から9月にかけて19件の応募があり、同年12月にプレゼンテーションと本審査が行われた。その結果、最優秀賞1件、優秀賞2件、アイデア賞1件、奨励賞5件の計9件の受賞者が決定した。
今回最優秀賞は、「独自操作可能な実験動物用保定器」を発明した李禎翼さんが受賞した。李さんは、ラットを用いた動物実験で、従来の保定器では筋肉注射をするのに二人で協力しても困難な場合が多いことに注目。一人でも操作が可能な保定器を開発した。李さんは表彰式のあいさつの中で、「この発明をマウスやラットの実験に活用してもらいたいと思う。特許出願もしたい」と笑顔で語った。
審査委員長を務めた桑原雅夫教授(本学生産研)は「最優秀賞となった発明は、日々の実験生活から生まれたもので、ちょっとした工夫で大きな成果をもたらす見事なアイデア」とコメントした。また、今回のコンテストでは初めて文科系の人からの応募もあったという。桑原教授は今後も幅広く応募があることを期待していると語った。
受賞者と発明は以下の通り(敬称略)。
<最優秀賞>
・李禎翼(大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士4年)「独自操作可能な実験動物用保定器」
<優秀賞>
・千蔵真也(大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 修士1年) 「オートリバーシ」
・佐々木拓哉(大学院薬学系研究科 生命薬学専攻 修士2年) 「多ニューロン画像法〜脳の活動を映画のようにとらえる〜」
<その他>
アイデア賞1件、奨励賞5件
■全学生に傷害保険
4月から 保険料は大学が負担
本学は1月31日、学生の福利厚生の充実を図るため、留学生や大学院生を含む全学生(約2万9千人)に傷害保険に加入してもらい、保険料を大学経費で負担すると発表した。今年4月1日から実施する。
加入する保険は、日本国際教育支援協会が運営する「学生教育研究災害傷害保険(学研災)」で、大学の授業や行事、課外活動中の災害事故による傷害に対して給付を行う学生向け傷害保険。学研災は補償額により二つのタイプがあるが、本学が加入するのは補償額がより大きいAタイプ(2千万円コース)で、通学途中の事故も補償対象となる特約も付ける。
本学では学生生活での災害事故に備え、学研災への加入を学生に勧めてきたが、保険料は学生本人が負担する任意加入だった。そのために加入率は7割程度で、教育研究活動中に傷害を負った場合、未加入者が多額の治療費を自己負担しなければならないケースもあった。
なお、本学が負担する保険料の額は年間約2800万円の見通し。また、大学負担による全学生の傷害保険の加入は、私立大学では早稲田大学や慶応大学など約60校が実施しているというが、国立大学では本学が初めてという。
■風洞装置が完成
柏キャンパス
本学柏キャンパスに、極超音速=ハイパーソニック(最高速度毎秒約1.5km)と高エンタルピー(気流の最高温度約1500℃)の風洞実験装置が完成した。1月25日〜26日に行われた「柏ハイパーソニックフォーラム 〜飛行の新領域へ〜」で26日公開された。
この実験装置は、欧米への日帰りも可能となる将来の極超音速旅客機や隕石(いんせき)などの研究に役立つという。宇宙航空研究開発機構(東京都調布市)などにある風洞に比べ、操作が簡単で運転費用が1回1万円以下と安く、1日に5回も実験できるのが特徴。今夏から本学以外の学生や研究者も利用できるようになるという。
風洞
風を人工的に起こす装置。風洞の中で自動車、航空機、構造物などの空力特性を計測することにより、製品開発・設計のためのデータを得ることができる。 |
■医学系・井原教授らを採用
同志社・生命医学
本学医学系研究科の井原康夫教授と高橋智幸教授の二人が、4月から同志社大学の教授に採用されることが分かった。同志社大学が1月19日、来春開設予定の「生命医科学部」の準備作業の一環として、二人を採用することを決定した。
同志社大学によると、文部科学省に今年6月、生命医科学部の設置認可申請をする予定で、井原、高橋両教授は、生命医科学部設置準備室付となり、学研都市キャンパス(京都府木津町)や京田辺キャンパスで研究に当たる。
井原教授は本学医学部卒で、アルツハイマー病で脳の神経細胞が消失するメカニズムの一端を解明した。高橋教授は東京医科歯科大学大学院博士課程修了。神経伝達物質の放出抑制機構の研究などで知られる。
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