7月25日、駒場キャンパス5号館525教室で、科学研究費補助金(基盤研究B)プロジェクト「脳神経倫理学の理論的基礎の確立」が主催するシンポジウム「『社会脳』を考える―社会性の脳科学と社会―」が開催された。 同シンポジウムは、社会認知や社会行動に関する脳科学(神経科学)的研究が盛んになりつつある昨今の状況を踏まえ、これまでの研究成果を紹介すると共に、研究の可能性やその成果が人々の社会や道徳に対する意識に与える影響について考察することを目的としている。脳科学や発達認知神経科学に限らずロボット工学や哲学・倫理学など、さまざまな領域で活躍する6人の研究者が講演を行った。 はじめに本学大学院総合文化研究科の石原孝二准教授が「『社会脳』と社会性の脳科学」というタイトルでイントロダクションを行った。石原准教授は「社会脳」を「社会性に関わる脳の領域のネットワーク」と定義し、その概念が生まれるに至った歴史的経緯や課題について紹介した。本学の関係者では他に、大学院情報学環および総合文化研究科所属の開一夫准教授が「自己と他者に関する発達認知神経科学」というタイトルで講演を行った。開准教授は、幼児が数秒遅れて動く画像を見て、自分を映したものであると認識するまでどれくらいかかるかを観察したものをはじめ、認知に関わる三つの実験を紹介し、自己と他者の認知プロセスを神経レベルから解明する取組の一端を示した。 各講演の終わりには質疑応答の時間が設けられたほか、プログラムの最後にはフロアの参加者も交えての討論の場が設けられた。参加者からは、内容のより詳しい説明を求めるものから、登場した概念に関する疑問や異論まで、さまざまな質問・意見が寄せられていた。
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