1072号(2009年9月15日号)

1面主要記事

オオバコ属の全容解明

  24種に遺伝子解析適用
  理学系研究科 塚谷裕一教授

  本学理学系研究科の塚谷裕一教授らの研究グループは1日、道端に生え、踏まれても丈夫に育つことで世界的にも身近な雑草、オオバコの仲間について遺伝子解析を行い、日本古来のオオバコは、ユーラシア大陸に広く分布し最近日本への帰化が見られるセイヨウオオバコの雑種から生じた種であることを明らかにした。

日本で見られるオオバコ属には、日本古来のオオバコと、帰化植物のセイヨウオオバコとがある。これら二種は互いによく似ており、見た目での区別は非常に困難だ。研究グループはそれぞれの植物のDNAの遺伝子配列を解析し、その系統関係について調査した。その結果、オオバコはセイヨウオオバコと未知の種との間で出来た雑種を起源とすることが明らかになった。
 さらに南西諸島に見られるオオバコ類似の種類については、以前からタイワンオオバコという別種にする考えのほか、オオバコであるという見解とセイヨウオオバコであるという見解があった。遺伝子解析の結果、この南西諸島に分布する種類は、オオバコでもセイヨウオオバコでもなく、別種(タイワンオオバコ)であることが判明した。またこのタイワンオオバコはセイヨウオオバコ由来の雑種であるオオバコに、もう一度セイヨウオオバコが交雑した種が起源となってできた種であることも分かった。
 研究グループは今回の研究で、世界のオオバコ属24種類に関して遺伝子解析を行い、その類縁関係を明らかにした。一般的に異なる種間の交配によって出来た雑種植物は、子孫を残すことはできない。ところが、遺伝子の全セットが2倍に増える「ゲノム倍化」という現象が起きると雑種でも子孫を残すことができ、新たな種が生じるきっかけになる。オオバコ属では異なる種間の交配とゲノム倍化を繰り返して、世界に分布を広げながら多様な種に進化してきたことが明らかになった。


記事一覧

  • オオバコ属の全容解明(9/1)

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