本学医科学研究所が主催する公開シンポジウム「Pandemic」が4日、安田講堂で開催された。今年の3月にメキシコを起点として世界中に流行しはじめた新型インフルエンザについて、これまでに得られた国内外の情報を共有し、今後の対策や治療に生かしていくことが目的。WHO(世界保健機関)の進藤奈邦子氏、本学医科学研究所の河岡義裕教授ら、4名の識者が講演を行った。 進藤氏は講演の中で、メキシコでアウトブレイクが起こって以来、WHOが警戒フェーズを引き上げ、パンデミック宣言をするにいたった経過などを説明した。また、新型インフルエンザに対する日本の近畿地方の対応、米国ユタ州の対応例を紹介。近畿地方では思い切った決断をして、何千もの学校が休校措置などを行ったところ、流行はだいぶおさまった。一方、ユタ州では人が集まる宗教的な催しなどが盛んに行われる所だということもあり、ゆっくりと感染が広まってしまったという。進藤氏は「日本の対応例は世界からも注目されている。公衆衛生学的な手段によって広まりを抑えられる」と指摘した。 河岡教授は、動物を使った実験などから新型インフルエンザと季節性インフルエンザの特徴の違いなどを紹介。新型インフルエンザは肺で特に増殖すると指摘した。 国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦氏は、厚生労働省の新型インフルエンザ対策行動計画について、実際に行動しなければならないと強調。神奈川県警友会けいゆう病院小児科の菅谷憲夫氏は、「新型インフルエンザが『弱毒』と報道されることがあるが、その表現は誤っている」と述べ、重症患者が発生しないように迅速な診断、タミフルなどによる診療をしっかりと行っていくことが重要などと指摘した。
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