829号(2001年4月25日号)

1面主要記事

■舶用減揺装置を開発

 波のエネルギーを利用
 須田教授ら

 本学国際・産学共同研究センターの須田義大教授らの研究グループは、石川島播磨重工業株式会社と共同で、新型の舶用減揺装置を開発したと発表した。これは「セルフパワード・アクティブ制御」と名付けられた制御法を用いるもので、回生した波のエネルギーのみを用いてアクティブ制御を行う。

 船舶の動揺、特に横揺れを低減する試みは従来からあらゆる方法を用いて行われ、現在ではおもりを用いたハイブリッド式が実用化されている。この方法は低速運航時に減揺性能が向上するという利点を持っているが、多くのエネルギーを消費するという難点もあった。
 今回開発された減揺装置は、揺れの原因となる波のエネルギーを回生し、そのエネルギーをアクティブ制御に用いるもの。減揺装置にエネルギーを供給するアクティブ制御力行モード、エネルギーを加えて減衰力を増大させるアクティブ制御ブレーキモード、モーターを発電機として使い減衰力を発生させるエネルギー回生モードの三つのモードをコンピュータ計算により適宜切り替えることで、省エネルギーを図りながらも従来以上の減揺能力を実現している。
 全長3.2メートル、型幅0.52メートルの模型船を用いた水槽実験を行ったところ、有義波高が2.5メートルを超える高波で船体の揺れを半分程度に減少させることができ、また波のエネルギーを回生することで、外部からのエネルギー供給がなくてもアクティブ制御が実現できることが実証された。
 この制御法は停船時や低速航走時においても減揺効果を持つことから、油回収船やクレーン船、海洋調査船などの停船作業を必要とする船舶への実用化が期待される。今後はこれらの実際の船舶への実用化に向けて、ハードウェアや制御系などの改善を目指すという。


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