844号(2001年11月5日号)

1面主要記事

■開かれた教育を

文化をつくる、人をつくる
文化資源学フォーラム

 本学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室主催の第一回文化資源学フォーラム「文化をつくる、人をつくる〜インターシップとリカレント教育の現在〜」が10月27日、本郷キャンパス法文二号館大教室で行われた。このフォーラムは、これまで切り捨てたり、見過ごしてきたものを文化的な資源に変えたり、すでに一定の評価が与えられてきたものを新たな観点から再考するための、問題提起の場として開催するもので、第1回目となる今回のテーマは「文化施設における人材育成のあり方」。

 文化資源学研究室は、文化にたずさわる人を育て、また既に現場で働く人が再び大学に戻って学ぶ機会を用意するために昨春本学大学院に開設された。現在24人の学生が在籍しているが、そのうち15人を美術館、図書館、劇場などで働いている人が占めている。
 フォーラムでは冒頭で青柳正規教授が今回のテーマの意義を説明した。その中で青柳教授は、現代社会のキーワードはインタラクティブ、インプリケイティッド、ボーダレスであると述べ、「これはグローバル化として括られがちだが、実は身近な市民生活においてもそういう状況は生じている」と語った。また明石市の花火大会での圧死事件などを例に挙げながら、そのような現代社会が直面している状況の中で価値の多元性や文化の多様性を担保できる社会を作るには、「個々の人やコミュニティー、制度がそのアイデンティティを明確にする必要がある」と述べた。その際、アイデンティティの強化が閉鎖性や排他性とつながらないようにするためには、最小単位である個々人が、自分が満足できるやりたいことを見つけ、その能力を発揮することによってアイデンティティを固めていくことが重要であると述べ、インターシップとリカレント教育の必要性を説いた。
 続いて、文化資源学研究室のここ一年半の活動報告が行われ、その後沖縄県公文書館のアントニー・P・ジェキンズ氏、ブリジストン美術館の貝塚建氏、日産自動車広報部の島田京子氏、文部科学省高等教育局の西坂昇氏の4人のゲストによって、文化に携わる人をどう育てるかというテーマでそれぞれの観点から報告が行われた。
 休憩をはさんで前横浜美術館館長陰里鉄郎氏、企業メセナ協議会の熊倉純子氏、名古屋ボストン美術館の山脇佐江子氏の3人によるディスカッションが行われ、フォーラムは終了した。
 会場には多くの社会人も詰め掛け、盛況となった。


■絶妙な和音奏でる

第93回オルガン演奏会

 第93回オルガン演奏会が11月1日、本学駒場キャンパスの数理科学研究科大講堂で行われた。今回はオルガンではなくリコーダーとチェンバロのアンサンブルで行われ、リコーダーの演奏は本学工学部出身でアムステルダムを拠点に演奏活動を行っている本村睦幸氏、チェンバロには同じくオランダを拠点に活躍している上尾直毅氏が担当した。
 演奏会では、まずジロラモ・フレスコバルディのパッサカリアによる百の変奏やアルカンジェロ・コレッリのラフォリアなど4曲が演奏された。それぞれの曲の合間には当時の時代背景や楽器事情なども交えた解説も行われた。その後、調律のため10分間ほど休憩がとられた。
 休憩を挟んで、本村氏は学生時代の思い出を語った。本村氏は高校時代から笛ふきになることを決意し、コンサートを企画したりしていた。東大を選んだ理由は高校の物理や数学の授業を通し、大学に行ってもっと勉強してみたいと感じたからだそうだ。
 その後アンヌ・ダニカン=フィリドールのリコーダー・ソナタ、バッハのトリオ第三番が演奏された。バッハのトリオではリコーダーが第一声、チェンバロで第二声と第三声を担当し、オルガンとは違った魅力を醸し出していた。会場は適度な広さで、演奏も司会もマイクを使用せず、観客と演奏者が非常に近く感じられる演奏会となった。静寂の中、チェンバロの和音の上に奏でられるリコーダーの生音が絶妙に調和して、聴衆はじっと聞き入っていた。
 最後に本村氏が、持ってきた六種類の笛についてそれぞれの特徴などを解説し、アンコールとして本プログラムでは使用しなかった、フルートと同じ調性の大きめのリコーダーを用いて一曲披露した。終了後は訪れた人たちが、珍しい楽器を囲み、演奏者の二人に質問を投げかけたりしながら、交流の場が持たれた。


■8季連続最下位に終わる

 東京六大学野球秋季リーグ戦

 東京六大学野球秋季リーグ戦、第七週の対戦が10月20日、21日に神宮球場で行われ、東大は明大と対戦した。
 1回戦は東大・児矢野、明大・一場の両投手が共に好投を見せ、8回まで双方無得点の緊迫したゲームとなったが、九回、明大に代打渡辺祐の犠打などで2点を奪われ惜敗。
 2回戦は1回に東大が入山の三塁打で先制。3回にも押し出しとパスボールで2点を追加した。しかし、6回以降投手陣が明大打線に捕まり逆転を許した。
 東大は連敗で明大に勝ち点を献上し、今季の全日程を終了。最終成績は1勝10敗、勝ち点0で8季連続の最下位となった。

◇1回戦(10月20日)
明大
 000000002 2
 000000000 0
東大
 勝 一場(2勝4敗)
 敗 児矢野(1勝4敗)

◇2回戦(10月21日)
東大
 102000000 3
 00010213× 7
明大
 勝 牛田(2勝)
 敗 児矢野(1勝5敗)


■キャンパス情報

★第21回農学部公開セミナー「農学新世紀:生物生産の現場から」
▽日時 11月17日(土)午後1時30分〜
▽場所 農学部弥生講堂一条ホール(南北線「東大前」下車徒歩1分)
▽定員 300名(参加無料、当日先着順)
▽問い合わせ先
東京大学農学系総務課 広報情報処理掛
TEL 03-5841-5484、8179(直通)



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