848号(2001年12月15日号)

1面主要記事

■3分野にわたり講演

情報の拠点目指す
第2回学術講演会

 本学と(財)東京大学綜合研究会主催の第2回本学公開学術講演会「昴さざめく小夜―思索の森へ」が、11月30日午後5時半より、安田講堂で行われた。7月に行われた第1回は自然科学中心のものだったが、今回は哲学、文学、ナノ工学とバラエティに富んだ内容であり、またインターネットを通じて会場にいない人でも聴講できるようにする試みもなされた。

 講演会は石川正俊本学広報委員会委員長の司会で進められた。最初に佐々木毅総長が主催者を代表して挨拶をした後、「精神の危機―ヨーロッパと日本」と題して本年度紫綬褒章受章の坂部恵本学大学院人文社会系研究科名誉教授が、カントを始めとするヨーロッパの西洋の哲学史を中心として現代の人間における目に見えない危機≠テーマにして語った(2面に講演要旨)。
 続いて「フランスの中世末期の武勲詩」と題して、学士院ランティエ賞受賞の松村剛本学大学院総合文化研究科助教授が、中世フランス文学のジャンルの中の武勲詩について、シャルルマーニュもの、ギヨームもの、作品によって主人公になる人が異なっている反乱もの、12、13世紀の十字軍ものなどの紹介を行った。
 最後に、最近話題のナノ工学の分野から、本年度紫綬褒章受章の榊裕之本学生産技術研究所教授が「ナノ世界の電子の魅力と威力」と題して、ナノ世界の化学とエネルギー環境問題やバイオ医療分野応用の探索、日米欧科学技術政策におけるナノテクノロジーなどのナノ世界とナノ技術の拡がりについて、OHPを使いながら講演を行った。
 会場には、それぞれの分野に関心のある多くの学生や社会人などが訪れ、それぞれの講演者の話に熱心に耳を傾けていた。


■「総合的な学習」議論

 シンポジウム「学力論争のゆくえ」

 本学大学院教育学研究科附属学校臨床総合教育研究センター主催のシンポジウム「学力論争のゆくえ」が、1日午後2時より、本学教育学部附属中学校で行われた。
 このシンポジウムでは、新教育課程における「ゆとり教育」や「学力低下論」に対して、三人の教授と現場の教諭とをパネリストに迎え、それぞれが講演を行った後、会場からの質問に答えるという形式でディスカッションが行われた。
 その中で、市川伸一本学大学院教育学研究科教授は、来年度から施行される新学習指導要領に対して、「総合的な学習の時間」を導入したという点で賛成であるとしながらも、「学力低下論」に対しては決して楽観しているわけではないとの立場を示した。新教育課程における「ゆとり教育」に関して市川教授は、ほとんど知識を与えないまま、考えたり討論したりすることを促したり、生徒たちが明らかに誤った発言をしても、「発言意欲をそいでしまうから」との理由で正すことをしないなどの例を挙げながら、「きちんと教えない授業」が目につくようになったことを問題点として挙げ、こうした充実感のない授業は「ゆとり」を浪費しているゆとり教育だと述べた。さらに「『頭がよい』と言われる生徒は少なくとも簡単な予習をして疑問点や問題意識をもって授業に臨み、授業を充実したものとし、復習によって定着を図るということをしているはずである」と述べ、学力低下の背景には家庭学習時間の変化があるとし、授業時間以外の学習時間の確保を促すことで学力も違ってくるのでは、との見解を示した。
 また、本学教育学部附属中等教育学校の楢府暢子教諭は、教諭という立場から、最近の生徒はあまり考えることをしないことや、生活力がないことなどを問題点として挙げ、これらの解決のために、附属中等学校では宿泊学習などを通して人と人との関係性や物事を総合的に考える力、将来自主的にさまざまな活動をしていく上で役立つ力としての「偏差値では計れない学力」「後から効いてくる学力」を高める学習を実践していると述べた。また楢府教諭は、基礎学力と総合的な学習の双方がリンクすることが必要であるとし、これからは、親、学校、地域の三者が連結して納得のいく意見を示していかなければならないと訴えた。
 会場には、学生や大学教授、一般の中学、高校の教諭など教育に関心を持つ多くの人が足を運び、講演後の質問会でもさまざまな観点から多くの意見がパネリストたちに投げかけられていた。


■体内に器具忘れる

 医学部附属病院

 本学医学部附属病院の移植チームが9月、死亡した50代の女性から心臓弁などの提供を受けた際に、止血に使った器具を体内に置き忘れていたことが11月30日にわかった。
 女性は9月10日にくも膜下出血などで千葉県内の病院に入院し、3日後に死亡した。遺族が臓器の提供を申し出たため、死亡当日、附属病院心臓外科の医師4人がこの病院に出向き、心臓弁と肺動脈などの提供を受けた。その際、止血に使用する長さ約15cmの鉗子を体内に置き忘れ、遺族が女性を火葬した時に器具が見つかった。


■キャンパス情報

★利根川進特別講義「脳科学の世紀」
▽日時 平成14年1月8日(火)午後2時〜3時30分
▽会場 安田講堂
▽座長 廣川信隆(医学系研究科教授)
★公開討論会「大学の教育研究体制と運営システム」
▽日時 平成14年1月11日(金)午後3時〜5時30分
▽会場 安田講堂
▽パネリスト
 利根川進(MIT教授)
 加藤紘一(ライフサイエンス推進議員連盟会長、衆議院議員)
 立花隆(評論家、元先端科学技術研究センター客員教授)
 廣川信隆(医学系研究科教授)
 黒田玲子(総合文化研究科教授)
 司会:小間篤(理学系研究科教授)
▽申し込み方法(両者共通)
 特別講義、公開討論会のどちらを聴講希望か(両方の場合はその旨)、氏名、所属、連絡先を記載して、12月20日(木)までに往復はがきで〒113-8654 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学研究協力部国際交流課まで(ただし、満員となった時点で締切)。
★農工融合技術による生物資源の活用と循環型社会の形成
▽日時 2002年1月10日(木)13時30分〜17時30分
▽会場 弥生講堂
▽入場 無料、定員300名(申込順)
▽申し込み メールまたはFAXで飯山まで
E-mail:uakenji@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
FAX 03-5841-5230


■他号1面主要記事

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