843号(2001年10月25日号)

1面主要記事

■大学の「知」を社会に

社会システムのあり方提言
工学部イブニングセミナー

 工学部イブニングセミナー2001「東大工学部の挑戦」の第6回「知能社会のためのプロジェクトとマネジメント」が5日、18時30分から安田講堂で行われた。このイブニングセミナーは今年1月から2月にかけて4週にわたって行われたものの続きであり、同時にジョイントセミナーシリーズ「社会と大学の新たな連携をめざして」の一部でもある。

 このシリーズは昨今の情報技術(IT)の発展を踏まえ、複数部局合同でより積極的な社会との連携を図ることを目的に開催されたもので、9月15日に行われたシンポジウム「社会と大学のアクティブリンク」と9月27日、10月5日の2回にわたって行われたイブニングセミナーによって構成されている。
 シンポジウムでは、将来のより高速なインターネット環境の実現を見据えた上で、大学の「知」とNPOをはじめとする学外の幅広い「知」との連携による「骨太の知」をいかに社会に発信するかについて、学内外から多くの人々を集めて活発な議論が行われた。この内容を受けて、将来の社会システムのあり方を提言するのが2回にわたるイブニングセミナーの趣旨である。
 シリーズ最終回となるこの日は、本学工学部教授宮田秀明氏が、自身が手がけたアメリカズカップのプロジェクトの例や日本のプロジェクトの問題点に触れ、プロジェクトを成功させるために必要な能力とその教育という観点から、工学部3年生が作成したプレゼンテーションなども紹介しながら講演を行った。
 続いて、日産自動車の商品企画本部長を務める深井吉男氏が講演を行った。その中で深井氏は、かつて経営危機に陥った日産自動車について、カルロス・ゴーン社長が「日産はグローバルカンパニーになっていないし、中央集権化されていない。また意思決定がトップダウンになっておらず、結果志向型でない」と分析したことに触れた。その上で、特に困難なクロスファンクショナル(機能軸横断的)な問題を解決するために、縦軸(各部門)と横軸(部門横断的な業務)のそれぞれに別の責任者を置くなどの改善策をとったことを紹介した。
 最後に両講演者が登壇し、質疑応答が行われ、セミナーは幕を閉じた。
 会場には夕方に行われたということもあり、社会人も多く参加していた。


■コウノトリ追跡成功

湿地伝いに小刻みに移動

 本学大学院農学生命科学研究科の樋口広芳教授らのグループは、ロシアのアムール川中流域で繁殖するコウノトリの渡りの追跡に成功した。追跡の結果、コウノトリは湿地伝いに小刻みに移動していることがわかった。
 この調査は、1998年から今春にかけて実施された。ロシアのアムール川中流域の繁殖地で、夏に巣の中のひな23羽に小型の発信機を取り付け、うち13羽の追跡に成功した。
 コウノトリは7月から9月にかけて南下を始め、湿地伝いに小刻みに移動、10羽は長江中流域のポーヤン湖周辺で、3羽は黄河河口域で越冬することが確認された。要した平均日数は105日、平均移動距離は2984kmだった。
 これに対し、同地域に生息するタンチョウは平均2008km平均22日で移動しており、コウノトリが小刻みな移動をするのに対し、タンチョウは一気に長距離を移動することもわかった。
 アジアのコウノトリは、ロシアや中国に約3500羽いるだけで、絶滅の危機に瀕している。繁殖地の環境は変化していないため、渡り経路の環境悪化が原因とみられており、保護のためには連続的に湿地を守る必要があると考えられる。


■今季初勝利挙げる

 東京六大学野球 連敗28でストップ

 東京六大学野球秋季リーグ戦第五週の対戦が6日から神宮球場で行われ、東大は立大と対戦した。
 1回戦、4回に1点を先制した立大に対し、東大は6回、児玉の2点二塁打で逆転。しかしリリーフの浅岡がリードを守り切れず、逆転を許した。
 2回戦は、東大が4回に1点を先制。5回には立大二番手の佐藤大から4安打を集めて2点を追加すると、7回2死満塁から増山が右中間に走者一掃の3塁打を放ってダメを押した。守っても2試合連続となった先発の児矢野が6回2/3を2失点に抑える好投、リリーフの中河原もノーヒットに抑え、立大に快勝。昨春の明大2回戦以来の連敗を でストップした。
 勝ち点のかかった3回戦、初回に和田の内野安打で1点を先制した立大は、6回に松倉良の本塁打で2点、7回にも内田の適時打などで3点をあげた。東大も7回、増山の二塁打で2点を返すなど終盤に追い上げを見せたが、中盤の失点が響き、勝ち点を逃した。
 東大は立大にも勝ち点を献上、今季の単独最下位が決定した。

◇1回戦(10月6日)
立大
 000100120 4
 000002000 2
東大
 勝 鶴井(2勝)
 敗 浅岡(3敗)

◇2回戦(10月7日)
東大
 000120300 6
 000010100 2
立大
 勝 児矢野(1勝3敗)
 敗 速水(2敗)

◇3回戦(10月9日)
立大
 100012310 8
 000000201 3
東大
 勝 小林(1勝1敗)
 敗 浅岡(4敗)


■キャンパス情報

★シンポジウム「2050年90億人の食料を生産する」
▽日時 11月19日(月)14時〜17時
▽場所 弥生講堂(南北線東大前駅下車徒歩1分)
▽入場 無料(定員300名、申込順)
▽内容
 14時00分 主催者挨拶
新領域創成科学研究科長 河野通方
 14時10分 基調報告(ビデオ)地球白書第3巻「90億人を救う」
 15時00分 休憩
 15時15分 パネルディスカッション
・遺伝子工学の活用
 新領域創成科学研究科教授 難波成任
・在来種の再発見
 アジア生物資源環境研究センター助教授 高野哲夫
・緑の革命の課題
 農学生命科学研究科教授 岩本純明
・コーディネーター
 農学生命科学研究科長 林良博
 17時00分 終了
▽申込先 東京大学農学系総務課広報情報処理掛
TEL 03-5841-5484、8179(直通)
FAX 03-5841-5028
E-mail sinpo2050@ofc.a.u-tokyo.ac.jp



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NGO活動推進センター
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財団法人オイスカ
 事務局次長
 亀山 近幸 氏