851号(2002年1月25日号)

1面主要記事

■公開討論会開催

「教養教育が不十分」
本学安田講堂

 本学主催の公開討論会「大学の教育研究体制と運営システム」が11日、午後3時から安田講堂で行われた。この討論会はノーベル生理学・医学賞受賞者でMIT教授の利根川進氏や衆議院議員でライフサイエンス推進議員連盟会長の加藤紘一氏、評論家の立花隆氏ら5人をパネリストとして迎え、大学の教育体制やその目標について活発な議論が行われた。

 最初に、司会の小間篤副学長が、昨年4月から東京大学21世紀学術経営戦略会議(UT21会議)の一環として、基本に立ち返り、教育体制を抜本的に見直す方向で現在動いていることを紹介し、「現在の教育体制の問題点」「東京大学の教育・研究目標」「教育の評価」などのテーマを設定した。
 討論会の中で立花氏は、東大の最大の特徴は「かんばん」であるとし、その「かんばん」に惹かれて優秀な人材が集まってくるから今まではそれなりの教育ができたとの見解を示した。しかし現在になって、学力低下問題などを例に挙げながら「高校までの教育と大学教育の接続がうまくいかなくなった」とし、教育体制そのものを全面的に見直すべきだと述べた。
 利根川氏は、東大など主要大学の学部教育の目的は幅広い教養を持ったスペシャリストを社会に送り出すことだとし、現在の状況では教養教育が不十分であると述べた。医学系研究科の廣川信隆教授もこの利根川氏の見解に対し同感であるとし、教育と研究が遊離している現状を問題点として挙げ、「一流の研究者が教育をしなければ一流の研究者は生まれてこない」と述べた。
 会場には本学の学生のみならず他大学の学生や社会人なども多く来ており、討論会の内容に聞き入っていた。


■研究機関間の高速通信

 スーパーSINET運用開始

 文部科学省国立情報学研究所は1月9日、国内11カ所の大学や研究機関を対象に光通信技術を用いた世界最高速度の研究ネットワーク「スーパーSINET」の運用を開始したと発表した。これにより東京大学、京都大学、大阪大学、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台などが光通信技術により接続され、東京―名古屋―大阪の主要幹線では最大毎秒10ギガビットの高速通信が実現される。
 スーパーSINETは、昨年3月にIT戦略本部が発表した「e-Japan重点計画」に盛り込まれている研究ネットワークで、先端的学術研究機関の連携を強化して、学術研究の一層の振興を図る目的で整備される。毎秒十ギガビットの光通信技術を用いた世界最高速の研究用インターネットであり、高エネルギー・核融合科学研究、遺伝子情報解析研究、宇宙・天文科学研究、ナノテクノロジー研究、スーパーコンピュータ間接続研究等の基盤として用いられる。
 同ネットワークは、大学等の研究拠点を光波長多重通信(WDM)と光クロスコネクトを用いて接続する。ネットワーク開発にあたり、国立情報学研究所は日本テレコム株式会社(東京都中央区、代表取締役社長ウィリアム・T・モロー)と平成14年1月から3年3ヶ月間の共同研究契約を締結した。
 日本テレコムは東名阪に約30波長の光伝送システムを提供し、スーパーSINETの運用に協力する。
 光インターネットは次世代インターネットを実現するものとして、世界中で開発が試みられている。光クロスコネクトを使用し研究機関の間を全光技術で接続するネットワークは世界最初の試みであり、これにより超高速かつ高品質な通信が可能であるばかりでなく、接続形態を瞬時に変更できることから、大学の研究室が先端研究に参加することも可能となる。この新たなネットワークは、日本の学術研究の発展を大いに促すものとして注目されるとともに将来の通信サービスの高度化に貢献することが期待されている。国立情報学研究所は、スーパーSINETにより日本の高度な情報通信ネットワークの構築を図り、産学官の連携で学術研究の飛躍的発展増進を目指したいとしている。

*光クロスコネクト

 クロスコネクトは、中継回線相互の接続を切り替えるもの。現在電子的なクロスコネクトが使用されているが、高速化や伝送フォーマットの変更に伴い装置を改修する必要がある。これに対し光クロスコネクトは、光信号のまま切り替えることを可能とするため、速度やフォーマットの変更による改修を必要としない。大規模な光通信ネットワークを経済的かつ柔軟に構成する必須手段であり、国内外で開発が進められている。


■センター試験実施

 韓国語も試験科目に

 大学入試センター試験が19日、20日の両日、全国684の会場で行われた。本学でも本郷キャンパス、駒場キャンパスがともに試験会場となり、多数の受験生が試験に臨んだ。駒場キャンパスでは、駅の大学側出口付近に大手予備校の職員らが陣取り、降りてきた受験生らにエールを送ったり、合格祈願の鉛筆を渡すなどしていた。正門の手前では本学の職員らが受験票のチェックをするために待機していた。受験生らは正門の前で受験票のチェックを受けると、やや緊張した面持ちで、構内へと入っていった。外国語の試験では、本年から韓国語も試験科目に加わった。


■駒場寮明け渡し訴訟が終結

 駒場寮明け渡し訴訟上告審で、最高裁判所第二小法廷は12月21日、旧寮生らの上告を棄却する決定をした。これにより国側の請求を認めた一審、二審判決が確定し、足掛け5年に及ぶ裁判が終結した。

■2002年度入試 文Vの定員10人減

 今春行われる2002年度入学試験の文科三類の定員が、11月に発表された募集要項の定員から10人減少し、前期日程432人(9人減)、後期日程53人(1人減)の計485人となった。他の科類の募集人員に変更はない。

■東大出版会元職員を逮捕

 警視庁は客が振り込んだ本の代金約5500万円を着服したとして、業務上横領の疑いで、東京大学出版会元職員の長沼均容疑者を逮捕した。調べに対し長沼容疑者は容疑を認めているという。



■他号1面主要記事

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